ハマキッズ・アートクラブ「横浜市民ギャラリーまるごと探検ツアー」開催レポート

2021.4.15
2021年3月14日
ハマキッズ・アートクラブ「横浜市民ギャラリーまるごと探検ツアー」を開催しました。

この講座は今回が初開催となる新企画。タイトルのとおり、展示室はもちろん、普段は入れないバックヤードまで、横浜市民ギャラリーの表裏をまるごとめぐる、子どもたちのための特別ツアーです。案内係は、当館の学芸員・エデュケーターの河上が務めました。美術施設の役割を学んだり、そこで働く人に出会ったり、展示室で美術作品の鑑賞体験をしたりと、盛りだくさんな1時間のツアーに小学3~6年生8名が参加してくれました。
その様子の一部をレポートします。



4階のアトリエに集合して、いざ出発!ツアー前半は主にバックヤードをめぐります。


来館者のみなさんは普段は通らない、搬入口のある裏入口から入ってバックヤードへ!


展覧会の開催前など、美術作品を一時的に置いておく作品保管室の中をのぞいてみます。大きな作品も運ぶことができる大型エレベーターにも乗りました。


このツアーでは、横浜市民ギャラリーが所蔵する約1,300点の作品が保管されている収蔵庫の中も見学します。収蔵庫は大切な作品を後世に永く残し伝えるため、温湿度をはじめ様々な管理を厳重に行っている場所です。小学生が中に入るのは初めて!作品を守るため、収蔵庫はどんなふうになっているの?学芸員や施設のスタッフは日々どんなことをしている?いろんなお話を聞きながら見学しました。

* * *

そして後半は、展示室1・B1で「横浜市民ギャラリーコレクション展2021 うつし、描かれた港と水辺」を鑑賞します。作品鑑賞のマナーもしっかり確認して、いざ展示室内へ!今回展示されていたのは、油彩・日本画・版画・写真など約50点。収蔵庫から表舞台に出てきた作品たちはどんな様子か見に行きます。



今回は展示室をめぐりながら、作品を見るときのちょっとしたコツをお話したりしました。例えば、大きな作品を少し遠くから見たり、近づいて見たり。また、横浜赤レンガ倉庫の辺りを描いた二つの作品をみんなで見比べてみました(上の写真下)。比較で見ると、よく似た風景を描いていても表現がまったく異なることや、それぞれの作品の特徴に気が付きます。「二つを比べてみたのが面白かった!」と感想を言ってくれた参加者もいました。


展示室B1で、作品ではなく下を見つめる子どもたち。1階とB1階では、展示室の造りや雰囲気が違います。



一つの作品の細部に注目してみたり、自分の気になる作品をじっと見てみたり。美術鑑賞というと何だか身構えてしまうこともあるかもしれませんが、このツアーではお散歩するように気楽に作品を楽しむ体験をしてもらうことを目指しました。
あっという間の1時間でしたが、参加してくれたみんなはちょっぴり美術と仲良くなれたでしょうか?ツアーを通して、それぞれに新しい発見があったようでした。

「横浜市民ギャラリーまるごと探検ツアー」は次回、2022年3月に開催します。

ハマキッズ・アートクラブ再開!―「油絵に挑戦!」レポート

2020.12.6

子どものための造形講座「ハマキッズ・アートクラブ」の2020年度上半期の講座は、新型コロナウイルスの影響ですべて中止となりましたが、11月28日の講座より再開しました!
再開第1回目は、小学4~6年生を対象とした毎年人気の講座「油絵に挑戦!」。講師はアーティストの東麻奈美さんです。



参加者のみなさんが安心して受講できるよう、定員は25名から18名に変更しました。いつもは4人で座るテーブルに2人ずつ座ったり、先生の手元をライブカメラ映像で見ながら説明を聞いたりと、普段とは少し違う形です。

ほとんどの参加者は油絵を描くのは初めて。まずは先生から使う道具や絵具のことなど教えてもらいます。


「パーマネントイエローディープ」「クリムソンレーキ」など、油絵具の色はみんなの知っている色の名前とはちょっと違います。パレットに並んだ10色から、二つを混ぜたらどんな色ができるかな?先生の言う通り、いろんな組み合わせで2色を混ぜてみます。
すると出来たのは、いろんなみどり色!同じみどり色でも、ほんの少しの違いでずいぶん表情が異なることがわかりました。

***

モチーフは、「赤りんご」「青りんご」「柿」の3種類から、それぞれ好きなものを選んでもらいました。まずは実物をじっくりと観察して、いよいよ絵を描いていきます。本物にそっくりな色をつくれるかな?パレットでたくさん色実験!




困ったときは先生が筆の使い方など、丁寧に教えてくださいました。モチーフを描き終わったら、最後は背景です。「この絵をおうちのどこに飾るかイメージして、自分の好きなように背景を描きましょう。モチーフが目立つ色にするといいですよ。」と先生からアドバイスがあり、それぞれ思い思いの背景を描きました。



苦心の跡がにじむパレット!みんな集中して絵を描き進め、1時間半から2時間ほどで作品が完成しました。水彩絵具とは異なる油絵らしいタッチや発色が素敵な作品に仕上がりました。





参加した子どもたちがこんな感想を寄せてくれました(抜粋)。

「すごく難しそうで大丈夫かなと思いましたが、ゆっくりと教えてもらい、すごくわかりやすくて楽しかったです。」
「初めて油絵を描いたけど楽しかった。またやりたい。」
「とても楽しかったが、とってもくさかった!!」
「コロナ禍のなか、楽しい催しを開いてくれてありがとうございました。」

感染症の拡大状況を見ながらとなりますが、これからもハマキッズ・アートクラブでは子どもたちが自分で挑戦する楽しさを感じられる機会を大切にしていきたいと思っています。みなさんのご参加お待ちしています!

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【感染症対策について】
アトリエ講座では、みなさんに安心して講座に参加していただけるよう、主に以下のような対策を行っています。ご理解、ご協力くださいますようお願いいたします。

・感染症の拡大状況や講座内容に応じて、適切な定員に調整
・検温(37.5度以上の発熱や体調不良の場合は参加不可)
・講師・参加者・スタッフの手指消毒、マスク着用*、互いの距離確保 *幼児の場合は講座内容や年齢によります。
・外気を取り入れた会場の換気
・材料・道具類の個別用意、消毒
・ハマキッズ・アートクラブでの保護者の見学中止または人数制限

SDGs当館発行情報誌・環境への取組

2020.10.3

イベント実施期間: 2020年4月1日~2021年3月31日

1.イベントの概要
横浜市民ギャラリーで2020年度発行される「アートヨコハマ」、「ヨコハマ・ギャラリー・マップ」、「横浜画廊散歩」などの広報資料の用紙製造・印刷等の制作に伴って発生するCO2を、アズビル株式会社が自社保有するJ-クレジットを活用してカーボン・オフセットすることで、持続可能な開発目標SDGsへ貢献する文化事業運営を目指します。

横浜市民ギャラリーで発行している広報誌

2.主催者
主催者: 横浜市民ギャラリー【公益財団法人横浜市芸術文化振興財団】
協力者: アズビル株式会社

3.カーボン・オフセットの内容
1964年に開設された、当時「横浜で最初の美術館」とも言われた横浜市民ギャラリー。地元の美術愛好家が熱望したことによって、半世紀近くもの間、横浜の市民に広く美術を紹介し続けてきました。「公益財団法人横浜市芸術文化振興財団」と「アズビル株式会社」はともにSDGsに取り組む団体、企業としてこのギャラリーの広報資料の発行に伴いどうしても発生してしまうCO2をJ-クレジットを活用して相殺します。

【無効化量】2t-CO2
「アートヨコハマ」10,000部・年3回(計:30,000部)、「ヨコハマ・ギャラリー・マップ」10,000部・年1回(計:10,000部)、「横浜画廊散歩」4,500部・年12回(計:54,000部)の用紙製造、印刷等制作に伴うCO2排出の一部をカーボン・オフセット

【CO2の発生】横浜市民ギャラリー広報資料の製造・制作にかかるCO2排出【CO2の相殺】アズビル株式会社保有のJ-クレジットを無効化して相殺

4.情報発信
公益財団法人横浜市芸術文化振興財団および
アズビル株式会社が専用サイト、各種メディアにて広報します。

詳しくはこちら>>>をご覧ください。

コレクション展2020「うつし、描かれた港と水辺」小冊子を先着100名にプレゼント!

2020.7.17

新型コロナウイルス感染拡大防止のため開幕2日目以降中止となった、横浜市民ギャラリーコレクション展2020「うつし、描かれた港と水辺」(当初予定:2020年2月28日~3月15日)。1日のみの幻の開催に惜しむ声を多数お寄せいただきましたが、今回、本展の小冊子(無料パンフレット)を先着100名にプレゼントします!
期間限定のキャンペーンとして、送料無料でみなさまのお手元に小冊子をお届けします。横浜の港風景をとらえた作品を中心に、油彩、日本画、写真、版画など、当館所蔵作品をご自宅でゆっくりとお楽しみください。この機会をどうぞお見逃しなく!

【プレゼント内容】
横浜市民ギャラリーコレクション展2020「うつし、描かれた港と水辺」小冊子(お一人一冊)
・B5版フルカラー16ページ
・作品図版、テキスト、アーティストインタビュー(西村建子、林敬二)などを掲載

[展示構成]
1. 写真でみる戦後―昭和のミナト 横浜
2. 描かれた横浜港 1940~80年代
3. 水辺と人々
特集展示 牛田雞村の描いた横浜―開港期の風景
4. 港と水辺 アラカルト―版画と漫画の多様な表現

[図版掲載作家]
天笠義一 岩田栄之助 奥村泰宏 國領經郎 柴田昌一 ちばてつや 常盤とよ子
浜口タカシ 三橋兄弟治 柳原良平 由木礼 他



小冊子デザイン:宮川洋平[bulwark]

【対象】先着100名

【受付期間】2020年8月17日(月)まで ※受付は終了いたしました

【申込み方法】
必要事項をご記入の上、以下の宛先までメールをお送りください。
[宛先] ws-ycag★yaf.or.jp ★を@に置き換えてください。
[メールタイトル] 小冊子プレゼント
[必要事項](1)名前(2)郵便番号(3)住所

※申込み後、3日以内に受付完了のメールをお送りします。
※申込みはお一人1回のみ有効です。メール1通につき1名のみお申込みいただけます。

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◆横浜市民ギャラリーコレクション展2020「うつし、描かれた港と水辺」について
下記のページで詳細をご覧いただけます。小冊子とあわせてお楽しみください!
展覧会アーカイブ
ブログ(全15回。展示室の様子、作品解説、ボランティア活動の紹介等)


【開催レポート】「お休み中の展示室に花を咲かせよう!」満開になりました!

2020.6.14


5月14日からスタートしたWEB企画「お休み中の展示室に花を咲かせよう!」。みなさんから自作のお花の絵や工作を撮影した写真を募り、休館中の展示室に飾ってその様子をSNSでお届けする本企画は、6月10日をもって予定どおりの期間を無事終えることができました。
最終的に、28日間でなんと!204点のお花が集まりました!!





真っ白な壁に数点の作品を貼り出した最初の頃とは見違えるようです。やっぱり展示室はこうでないといけませんね!期間中、市内、県内、国内、海外と、想像していなかったほど多くの地域から作品をお寄せいただきました。また、年齢も1歳から93歳まで(!)と幅広く、小さな子どもたちや若者たちもたくさん参加してくださいました。
ご覧のとおり、届いた作品はどれもそれぞれの魅力にあふれていて本当に素敵です。たくさんのパワーが集まって、こんなにすばらしい元気いっぱいのお花畑になりました。
みなさんご自身の生活も不安定な中、たくさんのご参加、応援をいただき、本当にありがとうございました!!


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お休み中の展示室に花を咲かせよう!
2020年5月14日(木)~6月10日(水) 28日間
[会場]横浜市民ギャラリー展示室B1 ※WEB上でのみ公開
[応募点数]204点
[参加者年齢]1 歳~93歳
[参加者居住地]
横浜市、川崎市、相模原市、大和市、藤沢市、鎌倉市、逗子市、平塚市、秦野市、東京都、千葉県、富山県、京都府、大阪府、奈良県、香川県、広島県、福岡県、佐賀県、熊本県、イギリス、その他海外 ほか
[配信]当館twitter、Facebookにて配信 @ycag1964 #花咲くギャラリー
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「お休み中の展示室に花を咲かせよう!」を振り返って

「お休み中の展示室に花を咲かせよう!」は、人が「誰かを元気づけたい」と思う気持ちを表明する場をつくること、個人のそうした思いをつなげて形として表し、共有することをイメージして企画しました。新型コロナウイルス感染拡大にともない4月7日に緊急事態宣言が発出され、これまでに経験のない外出自粛態勢となる中、私たちの生活はごく限られた人としか接することができないものへと一変し、多くの方が寂しさや先が見えない不安を感じていたと思います。そのような状況下、実際に顔を合わせずとも、インターネットを通じて人と人のつながりを感じられることが何かできないかと思い立ちました。3月から臨時休館が続いていた当館では、地下1階から3階まで4フロアの展示室はすべて空っぽの状態でした。作品を展示するのがギャラリー施設の本来の姿であり、展示室という場があることが私たちの何より大きな資源であると考え、インターネット上ですべて完結させるのではなく、実際の場を介した取組みを行うことにしました。
一方、美術は実際の作品と対することに醍醐味のあるものです。「実際の作品」を撮影したデータを印刷して展示し、それを写真に撮って配信するという、いわば「複製の複製の複製」という手法が見る人の心に響くのか、参加したいと思っていただけるのかは未知数でした。試しに数枚のテスト作品を展示室に貼ってみると、壁いっぱいに作品が広がるイメージが自然と湧いたので、「やってみなければわからない!」と、まずはスタートしてみることにしました。
美術を通じて、ご参加くださる方にも、SNSをご覧いただく方にも、少しでも明るく楽しい気持ちが生まれることを願って始めましたが、いざ募集を開始し、みなさんから少しずつお花が届き始めると、この企画によって横浜市民ギャラリーの中の空気が変わったことに気付きました。それまでは、準備していた今後の展覧会や講座を次々と中止せざるを得ない状況、そしてウイルスに感染しないよう、させないようにと日々気を張って生活する中、自分も他のスタッフも知らず知らずのうちに心が沈んでいたのだと思います。展示室が明るいお花畑に育っていくとともに、私たちスタッフもたくさんの前向きな気持ちをいただき、「何かを楽しみにすること」の大切さを身に染みて感じました。期間中は、次々と届く作品やメッセージから、それぞれの方の温かな思いを感じる毎日で、居住地の枠を超え、1歳から93歳まで幅広くどの年代からもご参加いただけたことも大変嬉しいことでした。参加者、主催者といった立場によらず、そこに関わる人が互いに互いを元気づけている、そんな形が見えた気がします。
「今、この時に始めねば」と性急に整えた企画に、至らぬ面もあったことと思います。ご参加、ご協力いただいたみなさん、温かく見守ってくださったみなさんに、心よりお礼申し上げます。

横浜市民ギャラリー 河上祐子(鑑賞教育エデュケーター/学芸員)



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