2019.3.5
村田優香里さんと坂本恵実さんによるユニット“うるしさん”を講師に迎えて「金継ぎ入門欠けた器を漆でなおす」が開催されました。
初回:11月15日
はじめに、スライドを見ながら漆についてのレクチャーを受けました。
漆の樹から取れる樹液は生のままだとほとんどの人がかぶれてしまいますが、固まるとかぶれ成分がなくなります。そういえば、多くの方が漆塗りのお椀で味噌汁を飲んでも大丈夫ですね。
今回は参加者の方がそれぞれ持参した器の欠けを金継ぎで直していきます。
作業の前に、うるしさんのデモンストレーションがありました。
まず、器の欠けの周りをマスキングテープで覆います。
ここから漆を扱うのでかぶれ対策でゴム手袋、アームカバー、エプロンを着けます。
器の欠けの断面にエタノールで薄めた生漆を塗ります。
ひび割れがある器は、この工程でひび割れにも染み込ませて水漏れしないようにします。
生漆はすぐにふき取ります。
いよいよ器の欠けを埋める作業です。埋める材料はサビといって砥の粉と水を練って生漆を混ぜたものを使います。サビをヘラで盛って欠けた部分を形作ります。
漆風呂に入れてこの日は終了です。漆風呂とは温度と湿度を保つためのもので今回は段ボール箱にヒーターと濡れ布巾を入れたものを使います。
2回目:11月22日
先週付けたサビが固まっているので凸凹をカッターで削ります。
器の表面より0.2㎜くらい盛り上がるように新たなサビをつけます。
サビは固まると痩せます。その分を考慮して付けるとよいそうです。
作業が終わったら漆風呂に器を入れます。
3回目:11月29日
先週つけたサビを器のかたちに沿ってカッターで完成形に削ります。
初日に付けたマスキングテープを目印にすると器の欠けの大きさが分かりやすいです。
次に1000番目の耐水ペーパーで表面をつるつるに研ぎます。
生漆をエタノールで薄めたものを筆で塗り、染み込ませます。
10分ほど漆風呂に入れて固めてから黒呂色漆(くろろいろうるし/黒い顔料を混ぜた漆)を塗ります。
厚く塗ると表面だけ乾いて皺ができるので薄く塗ります。
4回目:12月6日
1500番目の耐水ペーパーで漆の表面がマットになるまで研ぎます。次は弁柄漆(酸化鉄を混ぜた赤色の漆)を薄く塗ります。
漆風呂に入れて35~45分待って少しだけ固めます。これを「乾口(ひくち)をとる」というそうです。
固まるのを待つ間に最後の金粉仕上げにむけ、銀粉で蒔き方の練習をします。
鮮やかな赤だった弁柄漆が固まり始めると沈んだ赤になります。
よいタイミングになったら、いよいよ金粉を蒔きます。
真綿を小さく丸めたもので金粉を取って赤漆の真上でトントンと指ではじいて金粉を落とします。
全体に金粉が乗ったら余計な金粉を真綿でそっと払い落します。
次に金粉を蒔き詰めます。先ほど蒔いた金粉ではまだ隙間があるのでさらに金粉を蒔いて真綿で押し込みます。
そのあと息を吹きかけて真綿でクルクルと円を描くように磨くと金が輝きます。
漆風呂に24時間以上入れて固まれば完成です!
うるしさんのデモンストレーションとアドバイスは初心者にも分かりやすく、道具や材料が準備されているので金継ぎが気軽に体験できたと思います。
自分で直した器は、持ち帰ってからも日常に使って楽しめそうですね。