「田中千智展 I am a Painter」トーク、ピアノライブレポート

2016.2.8

「ニューアート展NEXT 2015 田中千智展 I am a Painter」では、イベントも大盛況でした。

まずは、10月3日に開催した「アーティストトーク」。

アーティストトーク会場の様子
90名のお客様にお集まりいただき、会場は超満員!

アーティストトークの様子
この日は田中さんに加え、黄金町バザールディレクターの山野真悟さんをゲストにお迎えしました。
山野さんは初回の「黄金町バザール」からディレクターを務めており、田中さんが横浜の黄金町に滞在制作をするきっかけをつくった方です。
お二人とも福岡で同郷ということで、そこでの出会いが横浜での作品発表につながりました。
田中さんと山野さん
山野さんは、田中さんの作品はもちろん、物怖じしないのびのびとした人柄に可能性を感じたと言います。
お話はお二人の出会いから、2008年の黄金町バザール当時のエピソード、そして現在にまで至りました。
旧知の仲のお二人の息の合ったトークに、会場は和やかな雰囲気に包まれました。


続いて、翌10月4日に開催した「林正樹ピアノライブ “夜のピアノと夜の絵たち”」。
ピアノライブ会場の様子
こちらも100人を超えるお客様にお集まりいただき、大盛況!
田中さんの新作が並ぶ地下1階の展示室に、この日のためにグランドピアノを設え、作品に囲まれる空間での演奏となりました。
林さんの演奏
会場の中に、やさしく情緒豊かな林さんのピアノの音色が響きわたります。
なんと、この日は田中さんの新作から着想を得た楽曲が2曲披露されました。
1曲は、会場正面に掛けられた作品《戦う人》をきっかけに作曲された新曲。
そしてもう1曲は、ピアノを弾く林さんの向かい側に展示された作品《浮かぶ》に対面しながらの即興演奏でした。
ちょうどその即興演奏中に、会場の配管から小さな水の音が流れるというアクシデントがありましたが、それも「曲に合っていた」と林さん。
その場の状況を含めてご自分の音楽にしてしまうところがさすがです。
田中さんと林さんのトーク
演奏の合間には、林さんと田中さんのミニトークもありました。
お二人は、今回の展覧会のデザインを担当した北川正さんがご縁で知り合ったとのこと。
林さんが2014年にリリースしたCDアルバム「El retratador」のジャケット画を田中さんが手がけています。
林正樹さん
今回のように作品に囲まれる空間で演奏するのは林さんも初めてだったとのこと。
とても贅沢な一夜となりました。
終演後のサイン会
終演後には急遽お二人によるサイン会を開催。
たくさんの方々がすばらしい演奏の余韻に浸りながら、列をつくっていました。
林さん、田中さん、ご来場いただいた皆様、どうもありがとうございました。

「107人のポートレート」の展示

2016.2.2

「107人のポートレート」は、田中千智さんの初期の作品です。
2008年に開催された初回の黄金町バザールで、田中さんがレジデンスアーティストとして黄金町に滞在したときに、まちの人々をモデルに描き上げたもの。
田中さんがまちの一人一人に交渉してモデルになってもらい、100を超えるポートレートを完成させました。

今回の「ニューアート展NEXT 2015 田中千智展 I am a Painter」の開催にあたり、この作品をぜひとももう一度横浜で展示したいと考え、横浜市民ギャラリーのスタッフが現存調査を行いました。
その結果、お店が閉店や移転してしまったり、持ち主の方がお引越しされてしまったりで所在不明となった作品もありましたが、多くの方々が大切に作品を保管されていることがわかりました。
そこで2種類の展示を行うことにしました。
一つは、個人で所蔵されている肖像画を、横浜市民ギャラリーの展示室に展示すること。
もう一つは、お店を営んでいる方に、2008年の黄金町バザールと同じように商店の中に飾っていただくこと。
そうして、横浜市民ギャラリーの展示室で20点の作品が、黄金町のまちなかで26点の作品展示が実現しました。
10月1日~11月3日の「黄金町バザール」の会期中、21箇所の商店・病院にご協力いただいた展示の様子をご紹介します。

第一亭
第一亭
手際よく料理の準備をするお店の方を見ながら、川の見えるお座敷にあがると心地よい空間です。作品は今も展示してあり、田中さんいわく「よい感じに油がのっている」そうです。

鳥保
鳥保
「写真撮らせてください」とお願いすると奥でお仕事をしていた奥様も呼んできて仲良く対応してくださるような焼き鳥やさんです。

永野鰹節店
永野鰹節店
店主さんも絵を描いていらっしゃるそうで色々お話してくださいました。お店の中の雰囲気もなかなかすてきです。

柴垣理容院
柴垣理容院
「理容院なので入りにくいかと思いますが絵をみに入ってきてください」とのこと。今でも作品が展示してあります。

リフォームショップ成岡
リフォームショップ成岡
描かれてから7年経っているので、女の子もだいぶ成長しているそうです。

清水経師店
清水経師店(初音町)
旦那さんは「ハンサムに代替わりした」なんておっしゃる楽しい方です。経師の作業をしていらっしゃる横に絵がありました。

竹内化成
竹内化成(初音町)
おじゃましたとき絵を掛けていらっしゃいました。いったん斜めに掛ってしまった絵をきちんと直してエレベータ横に展示されていました。

小林紙工
小林紙工(日ノ出町)
お店に入ると色々な文具がところ狭しとならんでいます。絵を探しながら商品探索もできる、そんな展示でした。

浜屋商店
浜屋商店(酒屋・初音町)
行くたびにご家族のちがう方が店番をしていらっしゃいました。小さなこどもがいた日はとてもなごやかな店内でした。

遊膳グレビー
遊膳グレビー(和食・日ノ出町)
この絵が掛っているとお客さんからそっくりだと言われてと照れくさそうなご主人。本当にそっくりです。

坂の上のそば屋司
坂の上のそば屋司(東ヶ丘)
急な階段を登ると、とてもみはらしのいい庭があるお店にたどりつきます。おかみさん所蔵の田中さんの他の作品とあわせて展示されていました。

佐野屋本店
佐野屋本店(日ノ出町)
店内にはなつかしい玩具が並んでいます。お店の人が「この絵は宝物」とお話ししてくれました。

 レストランシャルドネ
レストランシャルドネ(初音町)
おちついた雰囲気のレストランです。階段の途中にひっそりと絵が展示されていました。

シネマ・ジャック&ベティ
シネマ・ジャック&ベティ(若葉町)
こだわりのラインナップのミニシアター。奥にチラシなどがゆっくり見られるコーナがあります。今でも作品が展示されています。

ミツワグリル
ミツワグリル(日ノ出町)
ちょっとレトロなメニューにそそられる洋食屋さんです。

和泉屋
和泉屋(居酒屋・初音町)
昼は定食、夜は居酒屋として人気があるお店。田中千智展のポスターをとても気に入ってくださいました。

イセザキ書房
イセザキ書房(末吉町)
黄金町駅からだと川を渡って向こうがわです。本のディスプレイやポップもいい雰囲気です。

スリーエフ日ノ出町駅前店
スリーエフ日ノ出町駅前店
この絵に描かれているのは、オーナさんとその息子さんだそうです。駅すぐ横のコンビニです。

らーめんたつ屋
らーめんたつ屋(日ノ出町)
何回かおじゃましましたがお店の方は忙しそうに仕込みをしていらっしゃいました。おいしいものは手間がかかるんですね。


松田クリニック(日ノ出町)
診察室に絵を展示していただきました。
※写真の公開はありません

FOOTPRINT
FOOTPRINT(アジアンダイニングバー・日ノ出町)
おいしそうなメニューがたくさんあるお店です。


黄金町・日ノ出町・初音町エリアにはたくさんのすてきな商店があります。
今でも肖像画をかざっているお店もちらほら。
ぜひ町あるきをしてみてくださいね。

「田中千智展 I am a Painter」開催レポート

2016.2.1

10月2日~10月18日まで、「ニューアート展NEXT 2015 田中千智展 I am a Painter」を開催しました。
「ニューアート展NEXT」は、横浜と関わりのある気鋭の若手作家を紹介している展覧会で、今回が市民ギャラリーが新しい場所に移転して初めての開催となりました。
田中千智さんは、2008年の「黄金町バザール」に参加して初期の重要なキャリアを築いています。以来7年ぶりとなる横浜での作品発表となった本展では、当時黄金町のまちの人々を描いた肖像画「107人のポートレート」にはじまり、小説の装丁画や映画のポスターにもなった油彩作品、大型の新作まで、幅広い作品が会場に並び、会場は全国から訪れたたくさんの方々でにぎわいました。

《107人のポートレート》  photo:Ken Kato

《107人のポートレート》  photo:Ken Kato

 

photo:Ken Kato

photo:Ken Kato

 

photo:Ken Kato

photo:Ken Kato

 

《はてしない物語》  photo:Ken Kato

《はてしない物語》  photo:Ken Kato

 

photo:Ken Kato

photo:Ken Kato


また、21箇所の商店・病院にご協力いただき、「黄金町バザール」の会期中(10/1~11/3)肖像画はまちなかでも展示されました。
その様子はこちらで詳しくお伝えしています。

展覧会の開催までには様々な準備を行いました。

会場を確認する田中さん

会場を確認する田中さん


初めて田中さんが横浜市民ギャラリーを訪れたのは、この展覧会のちょうど一年前の開館記念展「横浜市民ギャラリークロニクル1964-2014」を開催していたときでした。
このときに地下1階の天井高のある空間を見上げて、「この空間を取り囲むような新作を描く」と決意を固めていました。

田中さん北川さん打合せ

田中さん北川さん打合せ


展覧会までには何度も打合せを行いました。
この写真に写っているのは、田中さんとデザイナーの北川正さん。北川さんには、この展覧会にまつわる全てのデザインを手掛けていただきました。

会場を見る田中さんと北川さん

会場を見る田中さんと北川さん


打合せを終えた後、会場を確認しているお二人。
何もない真っ白な空間はとても広く見えて、「こんな空間を全て絵画で埋めるなんてすごいプレッシャーだ」と、田中さん以上にはらはらどきどきしていた北川さんが印象的でした。

福岡アジア美術館

福岡アジア美術館


準備期間中にスタッフは福岡にも足を運びました。
横浜市民ギャラリーで展示する新作を、先に福岡アジア美術館での個展で公開したのです。

公開制作をする田中さん

公開制作をする田中さん


個展会場の一角には、制作できるスペースが設えてあり、そこで田中さんは絵画の公開制作を行っていました。

メモ

メモ


そこで発見したのが、田中さんが「メモ」と呼んでいる、作品のイメージスケッチです。
新作を構想するためにスケッチブックに描いたという小さなエスキースで、驚いたのは田中さんはこのエスキースをした後に直接キャンバスに描き始めるということ!
小さな下描きから一気に大きなキャンバスに描き進めるのです。
田中さんの描き方の瞬発力が表れていると思い、この「メモ」を初めて展覧会で公開することにしました。

《メモ》 展示の様子  photo:Ken Kato

《メモ》 展示の様子  photo:Ken Kato


そして展示作業です。
福岡から大型の作品が運びこまれ、田中さん立会いのもと、次々と作品が並んでいきます。
空間に対する作品の配置や照明の当て方で作品の雰囲気が大きく変わるので楽しくもありますが、それ以上に集中を要する作業です。

展示作業

展示作業


こうして様々な準備を経て、10月2日に展覧会が無事オープンしました。

展覧会初日の田中さん

展覧会初日の田中さん


今回の展覧会は、田中さんにとって過去最大規模の展示で、これまでの作品を一堂に展示した集大成とも呼べる内容になりました。
「やりきった!」と満足な顔を浮かべる田中さん、今後のますますの活躍に期待したいですね。

横浜市民ギャラリーではこれからも横浜のアートシーンを盛り上げていきたいと思います。

「日本の美・和菓子を楽しむ」開催レポート

2016.1.31

1月23日、大人のためのアトリエ講座「日本の美・和菓子を楽しむ」を開催しました。
この講座シリーズとしては初めての、つくって食べて楽しめる講座ということで、定員を超えるご応募をいただいた大人気講座となりました。

重田さんの説明
講師には、創業140年を超える横浜の名店「和菓子しげた」の重田親人さんをお迎えし、3つのお菓子づくりに挑戦しました。
まずは「わらび大福」から。
わらびもちづくり
わらびもちづくり
初めにわらびもちの材料となるわらび粉、水、砂糖を混ぜ、その後熱湯を加えます。ねばりのでてきた生地を混ぜていくのは力のいる作業です。 わらびもちづくり
わらび大福に仕上げる
わらびもちができたらきな粉をまぶし、中にあん玉を入れて包んで完成です。
丸いあん玉の上にわらびもちをのせ、わらびもちが重力で垂れてくるのをいかしながら丸めていくのがコツです。

続いては春を感じる「梅」の練り切りに挑戦です。
練り切りづくり 練り切りづくり
ピンク色のあんをベースに、中心に白色のあんをぼかした生地をつくり、あん玉を包んでいきます。
中央にくぼみをつくり、梅の5つの花弁を表現した後、黄色のしべをつけるとぐっと愛らしくなります。
練り切りづくり
重田さんの手にかかるとあっという間に完成する練り切りも、実際に取り組んでみるととても難しい!
みなさんで試行錯誤をしながら梅をかたちづくっていきます。
完成した和菓子
そして完成した和菓子がこちら。
どれも美しく仕上がりました。

続いて抹茶飴づくりに取り掛かります。
「和菓子しげた」は、もともと飴屋さんからスタートした歴史を持ちます。
大手製菓メーカーが飴づくりを手掛ける現在では、町の飴屋さんはほとんど残っていないそうです。
当初は飴が主力商品だった「しげた」も、現在は和菓子が中心。
それでも昔ながらの製法を大切に受け継いでおり、今回は重田さんにその製法のデモンストレーションを行っていただきました。
抹茶飴づくり
飴づくりは温度管理が要。一瞬の変動を見逃してはいけません。
抹茶飴づくり
熟練の重田さんの手によって練られていく飴。とても熱い飴だということを忘れてしまう手さばきです。
抹茶飴づくり
熱が冷めてくると次第に飴らしく固まってきます。ここまで来たら大忙し!飴に柔らかさが残っているうちに一気に成形します。
お茶の時間
無事、3種類すべてのお菓子が完成し、最後はみなさんでお茶タイム。
お抹茶を立てていただきました。
お茶の時間
出来たてのお菓子の味は格別です!
重田さんのお話


普段はお仕事で大忙しの重田さんですが、大事な伝統文化の一つである和菓子を広めたいという気持ちで、今回の講師をお引き受けくださいました。
今はスーパーやコンビニでも様々なお菓子が手に入る時代ですが、この味と伝統が廃れないように、ぜひ和菓子専門店で手づくりの味に触れてほしいとお話されていました。

横浜にも数店舗を構える「和菓子しげた」。ぜひ皆様も足をお運びください。
和菓子しげた


ご参加いただいた皆様、どうもありがとうございました。

「クリスマスの立体カードをつくろう」開催レポート

2016.1.30

12月19日、ハマキッズ・アートクラブ「クリスマスの立体カードをつくろう」を開催しました。
講師には横浜美術館 子どものアトリエ担当の山﨑優さんをお迎えしました。

山﨑さんの説明
まず初めに山﨑さんから「立体カード」がどんなしくみでできているのか教えてもらいました。
紙の色えらび
しくみがわかったら紙の色を選びます。
カードのベースづくり
紙を切る
色画用紙を何度も切って、カード本体としかけの土台になる部分をつくっていきます。まっすぐ切れたかな?
山﨑さんの説明
カードにしかけの土台を貼り付けたら、次は中心になるもみの木のつくり方を習います。
カードからもみの木がはみ出さないように、紙を貼る場所、紙の大きさに気をつけます。
手を上げる子どもたち
「わかったかなー?」
「はーい!」元気でよいお返事です。
ツリーを切る
いよいよツリーをつくります。
もみの木のギザギザ、難しいね。うまく切れるかな?
大きなもみの木の手前には、おうちやプレゼント、雪だるまなど、クリスマスにまつわるものを自由につくりました。
かざりをつける
形ができた後は、シールでかざりをつくります。
子どもたちはみんなシールを貼るのが大得意!
丸いシールを上手につかって雪の表現をしたり、もみの木に色とりどりのかざりをつけたり。

とってもすてきな作品ができました!
完成作品
完成作品
完成作品
今回はとび出すしくみをつくるのが難しかったけれど、みんな山﨑さんのお話をよく聞いて、最後までがんばって工夫いっぱいのカードが完成しました。
手づくりの封筒にカードを入れておうちに持ち帰りました。
みんなどんなクリスマスを過ごしたかな?

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