「田中千智展 I am a Painter」開催レポート

2016.2.1

10月2日~10月18日まで、「ニューアート展NEXT 2015 田中千智展 I am a Painter」を開催しました。
「ニューアート展NEXT」は、横浜と関わりのある気鋭の若手作家を紹介している展覧会で、今回が市民ギャラリーが新しい場所に移転して初めての開催となりました。
田中千智さんは、2008年の「黄金町バザール」に参加して初期の重要なキャリアを築いています。以来7年ぶりとなる横浜での作品発表となった本展では、当時黄金町のまちの人々を描いた肖像画「107人のポートレート」にはじまり、小説の装丁画や映画のポスターにもなった油彩作品、大型の新作まで、幅広い作品が会場に並び、会場は全国から訪れたたくさんの方々でにぎわいました。

《107人のポートレート》  photo:Ken Kato

《107人のポートレート》  photo:Ken Kato

 

photo:Ken Kato

photo:Ken Kato

 

photo:Ken Kato

photo:Ken Kato

 

《はてしない物語》  photo:Ken Kato

《はてしない物語》  photo:Ken Kato

 

photo:Ken Kato

photo:Ken Kato


また、21箇所の商店・病院にご協力いただき、「黄金町バザール」の会期中(10/1~11/3)肖像画はまちなかでも展示されました。
その様子はこちらで詳しくお伝えしています。

展覧会の開催までには様々な準備を行いました。

会場を確認する田中さん

会場を確認する田中さん


初めて田中さんが横浜市民ギャラリーを訪れたのは、この展覧会のちょうど一年前の開館記念展「横浜市民ギャラリークロニクル1964-2014」を開催していたときでした。
このときに地下1階の天井高のある空間を見上げて、「この空間を取り囲むような新作を描く」と決意を固めていました。

田中さん北川さん打合せ

田中さん北川さん打合せ


展覧会までには何度も打合せを行いました。
この写真に写っているのは、田中さんとデザイナーの北川正さん。北川さんには、この展覧会にまつわる全てのデザインを手掛けていただきました。

会場を見る田中さんと北川さん

会場を見る田中さんと北川さん


打合せを終えた後、会場を確認しているお二人。
何もない真っ白な空間はとても広く見えて、「こんな空間を全て絵画で埋めるなんてすごいプレッシャーだ」と、田中さん以上にはらはらどきどきしていた北川さんが印象的でした。

福岡アジア美術館

福岡アジア美術館


準備期間中にスタッフは福岡にも足を運びました。
横浜市民ギャラリーで展示する新作を、先に福岡アジア美術館での個展で公開したのです。

公開制作をする田中さん

公開制作をする田中さん


個展会場の一角には、制作できるスペースが設えてあり、そこで田中さんは絵画の公開制作を行っていました。

メモ

メモ


そこで発見したのが、田中さんが「メモ」と呼んでいる、作品のイメージスケッチです。
新作を構想するためにスケッチブックに描いたという小さなエスキースで、驚いたのは田中さんはこのエスキースをした後に直接キャンバスに描き始めるということ!
小さな下描きから一気に大きなキャンバスに描き進めるのです。
田中さんの描き方の瞬発力が表れていると思い、この「メモ」を初めて展覧会で公開することにしました。

《メモ》 展示の様子  photo:Ken Kato

《メモ》 展示の様子  photo:Ken Kato


そして展示作業です。
福岡から大型の作品が運びこまれ、田中さん立会いのもと、次々と作品が並んでいきます。
空間に対する作品の配置や照明の当て方で作品の雰囲気が大きく変わるので楽しくもありますが、それ以上に集中を要する作業です。

展示作業

展示作業


こうして様々な準備を経て、10月2日に展覧会が無事オープンしました。

展覧会初日の田中さん

展覧会初日の田中さん


今回の展覧会は、田中さんにとって過去最大規模の展示で、これまでの作品を一堂に展示した集大成とも呼べる内容になりました。
「やりきった!」と満足な顔を浮かべる田中さん、今後のますますの活躍に期待したいですね。

横浜市民ギャラリーではこれからも横浜のアートシーンを盛り上げていきたいと思います。