横浜市民ギャラリーでは、次世代の育成と美術分野での職業体験の場を提供することを目的に、大学生・大学院生のインターンを受け入れています。10月になり、今年度のインターン活動も折り返し地点を迎えました。そこで、インターン生たちに5月から9月までの活動を振り返り、活動を通じて感じたことや発見したことをレポートにまとめてもらいました。

今回は「子ども向け事業企画・運営活動」に参加するインターン生のレポートから一部抜粋してご紹介します。

 

 

 

①「ハマキッズ・アートクラブ」運営サポート

幼児・児童を対象とする造形を中心としたアトリエ講座「ハマキッズ・アートクラブ」は、造形活動等を通じて子どもたちに「自分で考える」「自分できめる」「自分でする」ことの楽しさや醍醐味を体験してもらうことを目的としています。材料準備や、講座中の子どもたちの制作補助など、講師の説明を受けながら講座運営を体験しました。

 

W.K.さん：ハマキッズ・アートクラブでは、幼稚園年長、小学生低学年の２講座に参加し、年齢別の素材や活動内容の適性を学びました。作品を作る過程で、子供たちに質問をすると、楽しそうに答えて仕上がりを見せてくれ、成長の早さに驚きました。また、どのような働きかけに興味を持ち、自発的に参加してくれるのか、という事を少しずつですが捉えることができました。

 

 

M.M.さん：最初はホチキスをうまく扱えなかった子どもが最後には連続でホチキスを留められるようになっており、ワークショップを通じて子どもたちが身近な作業へ挑戦する意欲を育てることができるのではないかと思った。蓄光粘土のワークショップでは、何を作ったらいいかわからなくなってしまう子どももいて、そうした子どもに対して、直接好きな生き物を聞き出したりするよりも、水族館に行った経験などを聞き出して、そこから話を広げるようにするとより積極的に話して考えてくれるという感触を得た。

 

 

K.I.さん：前期のインターン活動を通じて、子どもがアートの中で自分らしく表現することの価値について考えた。(中略）具体例として、「ホチキスでつないでみよう」の回を挙げる。この活動では自分の折り紙を他の参加者の折り紙とつなぎ、全員で1つの作品を制作する時間があった。折り紙の色の選び方やつなぎ方、作業のスピード感に一人一人の個性がよく表れていると気づいた。また、年長児の子どもたちは自分のことで精一杯のように感じられたが、講師が特徴的なつなぎ方をした子どものアイデアに注目した際、興味深そうに見ている子どもの姿があった。子どもたちにとって、アートで自分が形にしたものが周囲に受け入れられる経験は自己受容を育むことにつながると考えた。さらに、自分を受け入れる力は後に他者が持つ自分との違いを理解する力や、他者と考えを共有し価値観を広げていく力を身につけることにも寄与すると考えた。

 

 

 

 

②「横浜市こどもの美術展2024」関連イベント「ききたがりお兄さん＆お姉さんと話そう！」での鑑賞サポート

「横浜市こどもの美術展2024」（2024年7月19日〜28日）の関連イベント「ききたがりお兄さん＆お姉さんと話そう！」は、会場内でおこなわれている「こどものためのコレクション展」で、学生インターン等がお客様と一緒に作品を見ながら言葉を交わすイベントです。リラックスした会話を通して、作品を見て感じたことや気づいたことを言語化し、鑑賞体験を一歩進めることを目指し活動しました。活動の詳細は、下記のブログ記事でご紹介しています。
［横浜市こどもの美術展2024］インターン活動レポート

 

W.K.さん：鑑賞サポートでは、年齢性別を問わず様々な方とコミュニケーションをとりました。初対面の方と対話型鑑賞をする事は初めての経験であり緊張しましたが、多様な視点を学ぶと共に、来場してくださる方々への寄り添い方を自分なりに探求することができました。そして集めた感想を壁に掲示することで、多くの人が注目してくださり、鑑賞体験の深まりを実感しました。

 

 

K.N.さん：私は前期の活動を通し、「作品鑑賞」は子どもにとって自己形成とコミュニケーションの実践の機会に成り得ると感じた。数ある作品の中の一要素を自分で選択し、感想を述べる。そしてインターン生や保護者から声をかけられることで、新たな感想が生まれ、最後に他の鑑賞者の感想に触れることで自分との違いに気づく。たくさんの保護者が「うちの子ってこうなんですよ」と笑顔で述べていたように、他人に自分の意見を誰かに認めてもらい他の意見と照らし合わせているうちに、自分なりのものの見方や感性が育っていくのではないかと思った。（中略）後期はワークショップ補助や企画作りを通して、子ども達がのびのびと自分を磨くことのできる機会をつくりたい。

 

 

 

レポートから、インターン生のみなさんが積極的に活動に取り組み、多くの学びを得ている様子が伝わってきました。

後期はこれまでの経験を活かし、子どもたちのためのワークショップをインターン生で企画・実施する予定です！