横浜市民ギャラリーでは、次世代の人材育成と職業体験の場の提供を目的に、2018年度より学生インターンを受け入れています。
「横浜市こどもの美術展2024」(2024年7月19日〜28日)では、「こどものためのコレクション展」の鑑賞サポートをおこなうイベント「ききたがりお兄さん&お姉さんと話そう!」でインターン生4名が活動しました。事前研修から会期中の活動の様子をレポートします。
[事前研修]
7月13日、今回の活動に向け事前研修をおこないました。イベントの舞台となる「こどものためのコレクション展」は、横浜市民ギャラリーの所蔵作品による、子どもと大人が一緒に楽しむ小さな展覧会です。「ききたがりお兄さん&お姉さんと話そう!」では、学生インターン等がお客様と一緒に作品を見ながら言葉を交わします。リラックスした会話を通して、作品を見て感じたことや気づいたことを言語化し、鑑賞体験を一歩進めることを目指します。
お客様を迎えるには、まずインターン生自身が作品をよく見ておく必要があります。みんなで作品画像をじっくり見ながら、気づいたことを自由に語り合うと、人によって注目するところが異なったり、様々なとらえ方があることがわかりました。作品を見て他者と話すことを体験し、その楽しさを実感してくれたようです。
展覧会では鑑賞のヒントが書かれた「みてみよう!カード」が作品のそばに設置され、自由に手に取って読むことができます。インターン生たちはカードの言葉を手がかりに、お客様との会話のイメージを膨らませていました。
【イベント当日の様子】
会期中、土日を中心にイベントを実施しました。最初は緊張していたインターン生たちでしたが、勇気を出してお客様に声をかけるうちに、徐々に自然な会話がうまれていきました。
より楽しく会話するために、会期を通してインターン生同士で意見を交換しながら工夫を重ねていきました。例えば、まず絵をじっくり見る時間をとってから感想を聞く、怖がらせないように少人数で声をかける、作品の見方を決めつけないようにする…など。
お客様が作品について話してくれたことに対し、インターン生がさらに質問をすると、ハッと驚くような新たな視点が見つかることも。聞き手がいるからこその発見がありました。
お客様との会話で聞き取った感想や発見は、展示室内に掲示しました。それを見て「こんな見方もあるんだ!」と展示をもう一度じっくり見なおす方も多く、作品を別の角度から楽しむきっかけになりました。
たとえば田中岑《窓外港 夜》には、
・スパゲッティをたべていたおじさんが、急いでかえっちゃった!
・お金もちの人がおいしいディナーをたべていたのかな?
・おしゃれなお姉さんがすわっていたと思うよ!
・海にとびこんで船をぬすみにいっちゃった!
・むらさき、オレンジもみえるね。空にオーロラがあるみたい!
・ハートが料理されてる!!
といった多彩なコメントが寄せられました。
会期の最後には、たくさんのコメントが集まり、壁に展示しきれなかったものはファイリングして自由に閲覧できるようにしました。最終的なイベント参加者数は、なんと346人!子どもから大人まで、多くの方にご参加いただきました。幅広い年齢層のお客様との会話を通じて、インターン生はコミュニケーションの工夫を学ぶ貴重な経験を得ることができました。
参加者の方々にも、このイベントを通じて、作品を「見る」だけでなく誰かと「話す」ことで、鑑賞体験がさらに豊かになることを実感していただけたのではないでしょうか。インターン生の活躍によって、展示作品が生き生きとし、新しい発見が生まれる素晴らしい機会となりました。参加してくださったみなさん、そしてイベントを盛り上げてくれたインターン生のみなさん、ありがとうございました!
※インターン生によるレポートはこちら