「新・今日の作家展2023 ここにいる―Voice of Place」インターン生向け鑑賞会レポート

2023.10.7

「新・今日の作家展2023 ここにいる―Voice of Place」の今年度インターン生向け鑑賞会を2023年9月24日(日)に実施しました。

作品への理解を深めるとともに、展覧会の企画・運営について学んでいただくため、本展を企画した担当学芸員が解説しました。

インターン生の皆さんは担当学芸員の解説を聞きながら、真剣な眼差しで作品を鑑賞していました。
参加した皆さんの感想コメントをご紹介します!

 

来田広大 《あどけない空 ー三浦半島のキャベツ畑 》

 

 

   「 本展示を鑑賞して、街や人が目まぐるしく移り変わる今日、ふと自分の足元やルーツに立ち返ってみることに気づかされました。古橋さんの展示には、現実の場所にあるモノとその場所にあった生き物の共鳴の姿が表れているように感じました。また来田さんは、ご自身のフィールドワークによる精神的、身体的なものから生み出された作品を展示されていました。お2人の作品は表現方法や媒体、フィールドは異なるものの、場所で得た感覚や体験が作品に込められていると思います。これらの作品を鑑賞し、自分が生きている場所や空間に意識を向けてみるきっかけを得ることとなりました。」(M.K.さん)

 

古橋まどか 《Raw Material, Goods and Human Body》

 

    「作品の一点一点が響き合うような展示空間が出来上がっているのが印象的でした。絵画と映像からなる来田広大さんの展示空間からは、山や大地、空といったイメージが持つ、開放的で雄大なスケールを感じました。一方で、古橋まどかさんの展示空間では、石灰岩、流木、枯草などの大小さまざまな物体から、モノに対する作家の私的な感情や、モノが持つ深淵な時間の流れを感じました。学芸員の解説では、制作への動機や作品のコンセプトについて理解を深め、展覧会を通して鑑賞者に伝えるキュレーターとしての姿勢についても学ぶことができました。」(T.K.さん)

 

来田広大《東京には空がない (Rooftop Drawing)》

 

 「人の手や時間の経過によって消えていってしまうことに焦点を当てた作品からは、確かにこの世界に存在していたのに忘れてしまったものに対して、思いを馳せる時間や向き合う機会を与えてくれました。アートを通して具現化された瞬きの記憶は鑑賞を通して追体験することができ、作品に内包された場所は、素材となったモチーフや描かれたストロークの様子から繊細ですぐに崩れてしまうような印象を受けました。場所という唯一無二だった時間や空間を現在に繋ぎ止めた作品は、匂いや音までも切り取っているようでした。」(H.K.さん)

 

最後に、お互いの感想を分かち合いました。

 

「新・今日の作家展2023 ここにいる―Voice of Place」は、2023年10月9日(月・祝)まで。
出品作家は来田広大、古橋まどか。本展テーマに共鳴しながらも全く外観が異なる二人の制作の響き合い、それぞれ1フロアを使っての展示をお見逃しなく!