ガイドツアー&ミニ講座 「昭和の横浜風景 ~絵&写真で辿る関内・桜木町・野毛~」レポート

2024.12.6

横浜市民ギャラリーの開館60周年を記念し、NPO法人横浜シティガイド協会主催によるガイドツアー&ミニ講座「昭和の横浜風景 ~絵&写真で辿る関内・桜木町・野毛~」が121日に開催されました。

横浜市民ギャラリーの約1,300点の所蔵作品のなかには、横浜の風景を描き、写したものが数多くあり、コレクションの大きな特徴となっています。今回の街歩きツアーでは、そのなかから絵画・写真・漫画作品など14点をピックアップし、作品に登場する場所を実際に訪れ、ガイドのみなさんからその土地の歴史などを伺いました。取り上げた作品が制作されたのは1950年代~80年代、まさに「昭和の横浜風景」に思いを馳せるツアーです。

当日は43名が参加。4班にわかれてJR関内駅を出発し、終着地の野毛山の上にある横浜市民ギャラリーを目指して約2.3kmを歩きました。

 

《主なルート》

JR関内駅 → 横浜スタジアム → 二代目横浜市民ギャラリー跡(現・関東学院大学関内キャンパス) →  伊勢佐木町 →  桜木町、初代横浜市民ギャラリー跡 →  野毛 →  三代目横浜市民ギャラリー(現施設) ※学芸員によるミニ講座

 

横浜スタジアムが完成した年につくられた馬場檮男の版画作品をご紹介。

[紹介作品] 馬場檮男《横浜スタジアム》  ※リンク先で紹介作品のサムネイル画像をご覧いただけます。

 

関内駅前の二代目市民ギャラリー跡。現在は関東学院大学となっています。

こちらが前川國男設計の二代目横浜市民ギャラリー(横浜市教育文化センター)1988年 撮影:宮崎純安

[紹介作品] 島田四郎《教文センター》

 

柳原良平の作品に描かれた、大通り公園にあるロダンの彫刻。作中の石の舞台はなくなり、風景は少し変わっていました。

[紹介作品] 柳原良平《大通り公園》

 

伊勢佐木町付近には戦後、米軍のカマボコ兵舎が並んでいました。

[紹介作品]

ヒサクニヒコ《占領下の伊勢佐木町[カマボコ兵舎の林立]》

奥村泰宏《クツみがき 伊勢佐木町》

 

かつて外国人が居留した関内と関外を隔てる関門だった吉田橋。現在はその下を高速道路が走っています。

[紹介作品] 横山清治《高速道路(吉田橋)》

 

日本で初めてガス灯がつくられた馬車道。現在も夜になるとガス灯がともります。当館コレクションには、横浜の様々な事始めを描いた一コマ漫画もあります。

[紹介作品] 出光永《ガス事始》

 

大岡川にかかる大江橋。柴田善登は、現在は見られなくなった艀(はしけ)のある大江橋付近の風景を描きました。

[紹介作品] 柴田善登《大江橋》

 

1964~1974年、初代市民ギャラリーがあったのは桜木町駅前。1972年までその前を市電が走っていました。

初代横浜市民ギャラリー 1966年

[紹介作品] 浜口タカシ《市電の詩》

 

今は立体駐輪場となった初代市民ギャラリー跡を通り過ぎます。お天気もよく、街路樹の紅葉がきれいでした。

1946年に開業、洋画を上映したマッカーサー劇場跡など、戦後の野毛の風景にも触れました。

[紹介作品] 奥村泰宏《マッカーサー劇場 野毛町》

 

横浜市民ギャラリーでのミニ講座

 

横浜市民ギャラリー到着後には、横浜市民ギャラリーの歴史や、道中で紹介された作家について、学芸員によるミニ講座が行われました。

参加者の多くは横浜の方でしたが、今回の企画では、当館の60年の歴史を遡りながら所蔵作品について知ることができ、また作品をきっかけに街の歴史を振り返るめずらしい企画としてお楽しみいただいたようです。昭和の横浜の様子を伝える作品と、幅広い知識を持つガイドのみなさんのお話により、かつてそこにあった風景や歴史を、実感を持ってたどることができる素敵なツアーとなりました。

ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

 

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横浜市民ギャラリー開館60周年記念 

ガイドツアー&ミニ講座「昭和の横浜風景 ~絵&写真で辿る関内・桜木町・野毛~」

2024121日(日)9:30~12:00

主催:NPO法人横浜シティガイド協会

共催:横浜市民ギャラリー