横浜市民ギャラリーでは、次世代の育成と美術分野での職業体験の場を提供することを目的に、大学生・大学院生のインターンを受け入れています。10月となり、今年度のインターン活動も折り返し地点を迎えました。そこで、インターン生たちに5月から9月までの活動を振り返り、活動を通じて感じたことや発見したことをレポートにまとめてもらいました。
今回は「コレクション管理・事業アーカイブ構築補助活動」に参加したインターン生のコメントをご紹介します。
①コレクション管理補助活動
コレクション管理補助活動では、横浜市民ギャラリーで所蔵する約1,300点の収蔵作品管理に関する業務の一部を体験します。日常業務として作品の情報や写真等のデータベースの確認補助作業をおこなうほか、横浜市民ギャラリーが導入しているIPM(総合的有害生物管理)を学びます。IPMは年間を通じて実施していますが、定期点検に参加し、作品を守るための調査や清掃を体験してもらいました。
M.M.さん:データベースの情報と紙の情報に相違がないか確認する作業は、根気と集中力が必要とされるが、作業を進めていく中で自分が確認した情報の一つ一つがその作品の歴史をつくっているということを実感し、仕事の責任の重大さを再認識した。情報を正確に整理して広く公開していくことは、研究に大きく寄与することができる重要な作業であり、それに携わることができるやりがいを感じることができた。
②IPM点検補助
IPMとは「Integrated Pest Management」の略で、日本語では「総合的有害生物管理」といいます。美術館や博物館などの、資料を大切に保管する施設では、虫やカビ等による被害を起こさないようにする必要があります。IPMでは、虫やカビ等による被害が出る前に、日々の清掃や点検をすることで発生しにくい環境を維持します。
M.M.さん:IPM点検では、実際の作業にも携わらせていただくことができた。館外に繋がる経路に置かれたトラップに生物の死骸が多く残っているのを見たのは衝撃的だったが、普段作品が保存される環境がどのような環境であるのか、点検の作業を通じて客観的に知ることができた。
③アーカイブ構築補助活動
横浜市民ギャラリーでは、1964年の開館以来多くの展覧会等の事業を実施してきました。展覧会や講座の基本情報を公開し、検索して利用できる「事業アーカイブ」の構築には、令和5年度までのインターン生が活動を通して参画しています。今年度の活動では、今後の公開も見据え、60年以上も前から現代美術を紹介してきた「今日の作家展」のアルバムに収められた、貴重な写真群のテキストデータ化に取り組んでいます。
M.M.さん:今日の作家展のアルバムの内容を書き起こしてデータ化する作業では、アルバム内の写真やテキストから、この展覧会が同時代の作家の表現を積極的に横浜市民に紹介しようとした取り組みであったことがうかがえる。この書き起こしの作業をとおして、このアルバムが資料としてより多くの人に見てもらえるきっかけがつくれたらと思う。
前期の活動を通して多くの発見をし、学びを深めている様子がレポートから伝わってきました。
両活動の成果は、以下のページの充実につながっています。ぜひご覧ください。
「収蔵作品検索」
https://ycag.yafjp.org/archived_works/
「事業アーカイブ」
https://ycag.yafjp.org/all_archives/