大人のためのアトリエ講座 開催レポート:「銅版画石膏刷り」

2024.5.4

2024年2月17日 に開催した「銅版画石膏刷り」の講座では、横浜市民ギャラリーのエデュケーターが講師を務め、14名の参加者のみなさんと銅版画づくりを楽しみました。当日の様子をレポートします。

 

 

銅版画は、銅版に傷(溝)をつけ、そこにインクを詰めて刷り取る版画技法です。石膏刷りは紙やプレス機を使わずに石膏を使って刷る銅版画技法で、インクを詰めた銅版に石膏を流し込むと、型取りのように絵柄を写し取ることができます。今回の講座では、ドライポイント技法(ニードルという針状の道具で銅版を直接ひっかく技法)で絵を描きました。

 

 

 

アトリエに集まった参加者のみなさんと、まずは紙に刷った銅版画を見ながらドライポイントの特徴を学びました。ドライポイントは、ひっかいた溝の両端にできる金属くず(まくれ)にインクが溜まって、にじんだような描線になります。

 

 

カーボン紙を使って銅版に下絵を写し、ニードルで描画しました。描画すると版面に溝ができ、その深さでインクの濃淡が変化します。金属を削る独特の描き心地にみなさん驚いている様子でした。

 

 

版が出来たら版面全体にインクをのせ、寒冷紗やキュプラ(人絹)を使って余分なインクを拭き上げます。この時の拭き上げ具合によって刷り上がりが変わるため慎重に作業します。

 

 

いよいよ石膏を流し込みます。型の中心に版を置き、石膏に水を加えてよく混ぜて型に流し込みます。石膏がおよそ1分程度で固まり始めるため手早く作業をしなければなりません。みなさん緊張しながらも、楽しそうに石膏を流し込んでいました。

 

 

 

 

石膏を流し込んだ後、乾燥を待つ間に版画についてのスライドレクチャーを実施し、腐食液をつかったエッチング技法や、コレクション展「版をうつす」の展示作品に使われている版画技法についてご紹介しました。

 

 

レクチャーの後、ドキドキしながら型を外すと…作品が完成しました!滑らかな石膏の表面に、インクの濃淡がくっきりと写し取られています。

 

 

 


参加者の方から、「とても楽しかったので自宅でもやってみたい」という感想をいただきました。本講座が、銅版画を気軽に楽しむきっかけとなれば幸いです。ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました!