講師に詩人の大崎清夏さんをお招きし、「言葉」を味わい鑑賞する講座「言葉と遊ぶ、言葉と出会う」を2024年1月14日に開催しました。当日の様子をレポートします。
※「新・今日の作家展2022 」インタビューで大崎さんが語られた「言葉と遊ぶ」という言葉をきっかけに本講座を企画しました。展覧会の詳細はこちらをご覧ください。
「新・今日の作家展2022 世界をとりとめる」(2022年9月17日〜 10月10日)展覧会ページ
アトリエに集った17名の参加者のみなさんに対し、大崎さんはまず今日の説明とともに、小さなカードを配りました。カードは講座のイントロダクションとして、「4文字からはじまるあなたのまちのお気に入りの時間」の詩をつくるためのものです。
カードの4文字から始まる言葉を思い思いに考え発表すると、見事に一人ひとり違う情景の詩ができあがっていました。全員の作品が出揃った後、大崎さんがそれぞれの詩の中の言葉を入れ替えると、また違う詩が生まれました。予想外な言葉の組み合わせに笑ったり驚いたり、あたたかな雰囲気の中で作品を鑑賞しました。
たくさん笑ってリラックスできたところで、次は連詩の制作です。連詩とは複数人で作る詩で、はじめの人が書いた言葉に、次の人がリレーするように言葉を繋げていきます。今回は3点の当館収蔵作品をきっかけとした連詩をつくりました。
※作品の詳細はこちらをご覧ください。
《宮沢賢治「水仙月の四日」より 日暮れを待たず雪婆んごがやってきた》高松 次郎
作品を1点選んでグループに分かれ、作品から受けた印象や気になった所を共有しました。≪水仙月の四日≫グループでは、「白の下にカラフルな色も暗い色も重なっているね」「雪が溶けて地面がぐしゃぐしゃになってるみたい」と、作品の色彩から受けた印象を語り合っていました。その後、エデュケーターから作品についての詳しい解説をお伝えしました。
解説を受け、よりイメージが膨らんだところでいよいよ連詩づくりがスタート!今回の連詩は、大﨑さんがあらかじめ用意した1行目から始め、全員が3回ずつ書いたところで完成です。
みなさん自分の番が来ると、作品に描かれたモチーフや色彩を手がかりにしながら、真剣に前の行に続く言葉を考えていました。言葉が連なっていくと、連詩の中の時間が進んだり、景色が動いたり、新たな登場人物が出てきたり…作品の世界がどんどん広がっていくようでした。
最後の人が連詩を締めくくる言葉を書き終えると、どのグループも自然と拍手が沸き起こりました。全体を読み返して推敲し、タイトルをつけて完成です。出来上がった連詩を各グループの代表者が朗読し、全員で味わいました。
参加者の方から、「みなさんのそれぞれ異なる感性が合わさるのは面白く、不思議な経験でした。言葉って自由なんだなと感じました」という感想をいただきました。今回の講座を通じて、様々な感性を持つ個人がグループで言葉を紡ぎ、協同して連詩という一つの作品をつくりあげる楽しさを体験していただけたのではないでしょうか。
最後に、出来上がった連詩をご紹介します。
ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました!