横浜市民ギャラリーでは、次世代の育成と美術分野の職業体験の場を提供することを目的に、大学生・大学院生インターンを受入れています。今年度のインターン生の皆さんに、5月から9月までの活動をふりかえり、活動の中で感じたことや気づいたことについてコメントをもらいました。
今回は「事業アーカイブ構築補助活動」と「コレクション管理補助活動」に参加するインターン生のコメントをご紹介します。
「コレクション管理と展覧会アーカイブの活動を通して、公共の美術施設のアーカイブの重要性について考えることが出来ました。国立や県立の美術館が作品や展覧会のアーカイブ資料を公表しているが、横浜市民ギャラリーのような地域と密に関わる美術施設が積極的にアーカイブを公開することはより貴重ではないかと活動を通して感じました。近代展覧会史や近代日本美術の活動を研究する立場の身としてこの活動は研究の重大な資料であり、公開することにより横浜市民ギャラリーがこれまでの社会や地域との関わりを深く知ることが出来るきっかけともなりました。活動以前は展覧会アーカイブの活動に興味関心がありましたが、コレクション管理の作業から長谷川潔や岡本太郎などの作家の作品や神奈川県に馴染みのある作家や過去の横浜の姿を絵画や写真から知ることが出来ました。」(M.E.さん)
「コレクション管理補助活動では、パソコンを用いて作品の情報カードの作成やアナログ資料のデータベース化などを行い、最新の情報に更新する作業をしました。一般的には携われない作品を管理する仕事は貴重な体験であり、特にIPM点検体験ではカビや虫の調査を行い、作品を安全に展示するために施設側が行っている環境整備について知ることができました。 」(H.K.さん)
※IPMとは…
IPMとは「Integrated Pest Management」の略で、日本語では「総合的有害生物管理」といいます。
美術館や博物館などの、資料を大切に保管する施設では、虫やカビ等による被害を起こさないようにする必要があります。
IPMでは、日々の清掃や点検をすることで、虫やカビ等による被害が発生しにくい環境を維持します。
「私はこれまで開催された展覧会や事業情報をデータ化し、横浜市民ギャラリーのHPに掲載、公開するための活動である「事業アーカイブ構築補助」に携わっています。今日その役割を高く期待されているアーカイブがどのような過程を経て公開されているのか、そして地域やアーカイブによる情報を必要とする人たちにどのように普及していくのかに興味を持ち、本事業に取り組みました。展覧会情報のデータ化では、展覧会の開催期間、発行されたチラシやDM、来館者数や関連イベントなどの情報をひとつずつ確認し入力します。発行物はとくにその時代性やテーマ、作家の意図が読み取れる貴重な資料であり、作業を通して多様な資料に触れることができました。今後もデジタルアーカイブを公開するまでの過程を経験することで、文化資源と地域や社会をつなぐきっかけをつくっていきたいと思います。」(M.K.さん)
「アーカイブ構築補助活動では、横浜市民ギャラリーの歴史に関わる貴重な資料に触れる事ができました。その中でも、「今日の作家展」のアルバム撮影・整理作業は最も印象に残 っています。プリントの一枚一枚を写真に撮り、画像データを整理して、作品や作家の情報 を記録していく作業は、大学では学ぶことのできない貴重な体験でした。また 1 冊のアルバムから、展覧会当時の時代的な特徴を読み取っていくことで、自身の専門分野にも繋がっていく学びが得られました。」(T.K.さん)
インターン生の皆さんは、前期の活動から様々なことに気づき、自身の学びとしていただきました。
活動の成果は、以下のページでもご覧いただけます。
「収蔵作品検索」
https://ycag.yafjp.org/archived_works/
「事業アーカイブ」
https://ycag.yafjp.org/all_archives/