2023年度インターン活動(学芸系)レポート〜IPM点検補助〜

2023.8.24

今回は2023519日におこなった学芸系のインターン活動(コレクション管理補助活動)の「IPM点検補助」についてご紹介します。

横浜市民ギャラリーでは、作品を保管する環境を維持するため、IPMを導入しています。

収蔵庫の清掃

隔月で実施するIPM点検では、館内を回って清掃やカビのサンプリング、補虫トラップの確認、簡易消毒などをおこないます。

今回は今年度のインターン生も参加し、点検や清掃の補助、記録撮影を担当しました。

 

そもそもIPMとは

IPMとは「Integrated Pest Management」の略で、日本語では「総合的有害生物管理」といいます。

美術館や博物館などの、資料を大切に保管する施設では、虫やカビ等による被害を起こさないようにする必要があります。

IPMでは、虫やカビ等による被害が出る前に、日々の清掃や点検をすることで発生しにくい環境を維持します。

 

 

点検内容をいくつかご紹介します。

(1)サンプリング

カビが発生していないか、サンプルを取って調査します。

〈付着カビの調査〉

壁から試料を採取します

採った試料はシャーレに移し専門会社で培養してもらいます

〈空気中の落下カビの調査〉

20分~30分くらい、シャーレを置いておきます

(2)補虫トラップの設置

館内のさまざまな場所に補虫トラップを設置し、虫の発生状況を点検します。

この補虫トラップは市販の補虫トラップと違って、虫を誘引する成分がトラップに塗布されていません。

虫を集めるのではなく、自然にその場所を通った虫を捕まえます。

捕虫トラップ

 

 

(3)簡易消毒

エタノール水等のアルコールで、カビが発生し易そうなところを拭いていきます。

インターン生が大活躍!とても丁寧に拭いてくれました。

 

 

(4)温湿度管理

毛髪式温湿度計の記録用紙の交換

収蔵庫内は日々の温湿度の移り変わりを記録し、急激な温度変化を起こさないようにしています。

環境を維持するためには、コツコツとした毎日の取り組みが大切です。