横浜市民ギャラリーでは、次世代の育成と美術分野での業務体験の場を提供することを目的に、2018年度より大学生・大学院生のインターンを受け入れています。今回は、2025年度の子ども向け事業企画・運営(教育普及)活動の様子をご紹介します。
※学芸業務活動については、以下の記事をご覧ください。
2025年度インターン活動レポート~一年間のふりかえり①学芸業務活動~

神奈川県立青少年センター 子どもフェスティバル ワークショップ当日の様子
当館では、美術に触れたり、つくったりすることを通じて子どもの自立心を養うことを目的に、子ども向けの美術展やアトリエ講座をおこなっています。子ども向け事業企画・運営活動のインターンシップは、各事業の準備や運営補助を体験しながら、子どもとの関わり方、年齢に応じた活動の展開や素材の特性等を学び、経験を積みます。最終的には、インターン生が中心となり造形ワークショップを企画・運営します。
■オリエンテーション
5月25日にオリエンテーションを実施し、活動の概要について説明しました。今年度の子ども向け事業インターン生は5名。このメンバーで、様々な事業を体験します。

オリエンテーション
■子ども向け講座「ハマキッズ・アートクラブ」の運営サポート
幼児・児童を対象とする造形を中心としたアトリエ講座「ハマキッズ・アートクラブ」は、造形活動等を通じて子どもたちに「自分で考える」「自分できめる」「自分でする」ことの楽しさや醍醐味を体験してもらうことを目的としています。材料準備や、講座中の制作補助など、講師の説明を受けながら講座運営を体験しました。はじめは子どもたちと接することに不慣れだったインターン生も、回を重ねるごとに、サポートが自然にできるようになっていました。

ハマキッズ・アートクラブ「サンキャッチャーをつくろう」
はじめの頃の講座と後半の講座では、インターン生たちの表情にも変化が見られました。後半では自然に微笑みながら子どもたちと関わる姿が印象的で、子どもたちが安心して自分の思いを表現できるような雰囲気づくりにつながっていました。

ハマキッズ・アートクラブ「宝石箱をつくろう」
■「横浜市こどもの美術展2025」関連イベント
「ききたがりお兄さん&お姉さんと話そう!」での鑑賞サポート
「横浜市こどもの美術展2025」(2025年7月18日[金]〜7月27日[日])の関連イベント「ききたがりお兄さん&お姉さんと話そう!」は、会場内でおこなわれる「こどものためのコレクション展」で、学生インターン等がお客様と一緒に作品を見ながら言葉を交わすイベントです。リラックスした会話を通して、作品を見て感じたことや気づいたことを言語化し、鑑賞体験を一歩進めることを目指し活動しました。子どもから大人まで、幅広い年齢層のお客様との会話を通じて、コミュニケーションの工夫を学ぶ貴重な経験となりました。

「ききたがりお兄さん&お姉さんと話そう!」
作品についての質問の仕方を試行錯誤したインターン生たち。「どんなふうに感じた?」というような抽象的な質問では答えにくそうにしていた様子から、「どの色が好き?」「何が描かれている?」など、簡単に答えられる質問から対話を始めることで、相手の感じ方を引き出せることに気づいたと話してくれました。この気づきは、その後のワークショップにおける子どもたちとの関わり方にも影響を与えていました。

「ききたがりお兄さん&お姉さんと話そう!」
■子ども向け造形ワークショップの企画・運営
2026年2月8日開催の神奈川県立青少年センター 子どもフェスティバルに、インターン生たちが企画したワークショップを出展しました。
はじめの企画会議は10月初旬。まず、「ワークショップで気をつけたいこと・大事にしたいこと」をみんなで書き出していきました。子どもたちの想像力を広げること、安全であること、世界観がありワクワクするような仕掛けがあることなど、さまざまな視点が挙げられました。

前期のインターン活動を振り返りながら、アイデアを出し合いました

「ワークショップ企画で気をつけたいこと・大事にしたいこと」
企画会議を重ね、オンラインでの話し合いも含めて多くの時間をかけながら、インターン生たちは相談と試作を進めていきました。これまでのインターン活動を通して、「キラキラしたもの」に子どもたちが夢中になっていたという発見から今回のテーマが決まり、それぞれが試作を持ち寄って発想を掛け合わせることで、「紙コップで自分だけのプラネタリウムをつくる」というアイデアが生まれました。

試作の様子
方針が決まった後も、紙コップに目打ちで穴を開ける工程をどうしたら安全におこなえるか、多くの人に参加してもらえるよう制作時間を短縮できないかなど、さまざまな条件に向き合いながら試行錯誤を重ねました。難しさを感じていた様子も見られましたが、お互いに意見を出し合い、スタッフのアドバイスも参考にしながら、企画を練りあげていきました。

アトリエに机を配置し、ちょうど良いブースサイズを検討しました

教える手順を最終確認!
こうしてインターン生たちがつくりあげたワークショップは「キラキラ✨からころ✨手のひら うちゅう」。紙コップに穴をあけ、透明なカップにセロハンやビーズなどいろいろな素材を入れ、カップを重ねて覗くと…穴の部分が星のように光り、小さなプラネタリウムのように見えます。また、作品を振ると中の素材が転がって、“からころ”という軽やかな音が鳴ります。

作品を飾るオリジナルステッカーも、インターン生がデザインしました

中を覗くと…きらきら!
ワークショップ当日は、朝から大雪に見舞われました。期待と不安の中で待っていると、雪の中でも元気な子どもたちが来場し、会場は賑わいを見せました。ワークショップは大盛況となり、105名もの方にご参加いただきました。

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目打ちで穴を開ける作業は、はじめて体験した子が多かったようです。穴があく感触の面白さに、夢中になって取り組む姿が見られました。

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完成した作品を楽しそうに覗き込む子どもたち。その様子を見守るインターン生たちの、とても嬉しそうな笑顔が印象的でした。

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ライトを当てると、ランプに変身!いろんな遊びができる、素敵な作品ができあがりました。

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ポスターなどの装飾も、インターン生たちが制作しました
■振り返り
今年度の活動を振り返り、活動を通して気づいたことや考えたことを分かち合いました。

お互いの発見を共有し、学びを深める時間となりました
最後に、子ども向け事業企画・運営(教育普及)インターン生5名の振り返りコメントをご紹介します。
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とにかく、子どもたちと美術との関わりを見ることが楽しかったです。活動をする中で、一見どこからきているのかわからない考え方でも、見聞きしていくうちに子どもたちそれぞれの経験から得られた独自の視点であることが伝わってきます。そして、私たちとの関わり・美術との関わりが子どもたちのそういった考えを形作る経験の一部となっていきます。そのような活動に参加できることは本当に喜ばしいですし、自分自身がこれから美術と関わる上での新たな視点を得られたように思います。(U.O)
ハマキッズ・アートクラブでの活動補助では子どもたちの想像力の豊かさに驚かされるとともに、そうした力を発揮する場の重要性を実感しました。美術館において個性や感性を肯定された体験が少しでも心に刻まれれば良いなと思い、声掛けや手助けを工夫し、ワークショップでもその経験を活かすことができたと感じています。同じインターンの仲間たちとともに試行錯誤を重ねながら企画・運営に取り組み、子どもたちと創作の時間を共有できたことは、かけがえのない経験となりました。(K.K)
ワークショップ運営への興味、また大学で学んだ美術教育の知識をさらに深めるために、この活動に参加しました。子ども一人ひとりが、初めての表現方法や画材と出会う姿から、様々な学びを得られる非常に良い機会となりました。幼稚園児から大人の方々までといった、様々な年齢層の方々と関わることができるのもこのインターンの良いところです! 「聞きたがりお姉さん」では、初めは緊張して手探り状態でしたが、子どもと一緒に想像を膨らませ、新しい気づきを発見できたときはすごく嬉しかったです。(K.M)
子ども向け事業の運営をお手伝いさせていただき、最も印象的だったのは、安全に配慮しながらも子供たちの「挑戦」を温かく見守る現場の空気感です。「危ないからダメ」と遠ざけるのではなく、何が危険でどう扱えば安全なのかを丁寧に伝える姿勢は、教育普及活動において非常に大切だと感じました。自分の作品と真剣に向き合い、試行錯誤しながら成長していく子供たちの姿は本当に輝いており、「自分も子供の頃にこんな体験がしたかった!」と思うほど充実した時間でした。(Y.M)
子ども向け事業企画・運営(教育普及)活動では、園児から小学校高学年まで幅広い年代と関わって活動を行ないました。ひとつ学年が違うだけでワークショップに対する反応や全体の雰囲気が全く異なることを身に沁みて感じる機会となりました。大人と子どもでは知識量の面で大きく差がありますが、美術の前では「どんなふうに感じたか」や「どんなふうに見えたか」など全員が持つ直感的な感想が重要だということを学ぶことができました。今後もインターン活動で得たことを糧にして美術作品と向き合っていきたいです。(Y.Y)
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インターン生のみなさん、11ヶ月間の活動お疲れ様でした。今後のご活躍を応援しています!
文・箱山朋実(横浜市民ギャラリー エデュケーター)
