2025年度インターン活動レポート~一年間のふりかえり①学芸業務活動~

2026.3.31

横浜市民ギャラリーでは、次世代の育成と美術分野での業務体験の場を提供することを目的に、2018年度より大学生・大学院生のインターンを受け入れています。今回は、2025年度におこなった「学芸業務活動」の様子をご紹介します。

※ 子ども向け事業企画・運営(教育普及)活動については、以下の記事をご覧ください。

2025年度インターン活動レポート~一年間のふりかえり② 子ども向け事業企画・運営(教育普及)~

 

■オリエンテーション

5月25日にオリエンテーションを実施し、活動の概要説明をおこないました。その後の収蔵庫見学では、学芸員から温湿度管理や地震対策の工夫など、作品を安全に保管するためのさまざまな取り組みについて学びました。今年度の学芸業務インターンの参加者は2名。緊張した様子も見られましたが、熱心に担当学芸員の説明に耳を傾ける姿が印象的でした。

 

オリエンテーションの様子

収蔵庫見学

 

■コレクション管理補助

コレクション管理補助活動では、横浜市民ギャラリーで所蔵する約1,300点の収蔵作品管理に関する業務の一部を体験しました。

 

・コレクション関連データの確認・更新作業

作品チェックシートの作成、作品カード情報の精査作業など、コレクションや作家にまつわるデータの確認・更新作業の体験をおこないました。

 

コレクション管理補助活動

 

 

また、作品の付属物の確認や情報の記録も行いました。額に付属する紐や金具など、細かな付属物も作品の一部として扱われることを知り、細部まで記録することの大切さを実感した様子がうかがえました。さらに、こうした地道な作業の積み重ねによって、作品そのものだけでなく、作品に関する情報も含めて保存され、後世へ引き継がれていくことへの理解が深まった、という声もありました。

 

 

・IPM点検補助

横浜市民ギャラリーでは、作品を保管する環境を維持するため、清掃や点検を通じ予防を重視するIPMIntegrated Pest Management/総合的有害生物管理)を導入しています。隔月で実施するIPM点検にインターン生も参加し、点検や清掃の補助、記録撮影等を担当しました。

 

IPM点検体験(補虫トラップの設置)

IPM点検体験(付着カビの調査)

 

細かな手順を積み重ねて環境を点検していくプロセスに、インターン生は驚きを感じている様子でした。虫を捕獲するトラップの交換や、壁や床に付着したカビを採集する作業、収蔵庫の清掃など、さまざまな作業に興味深そうに取り組んでいました。

 

・額のクリーニング作業の見学

横浜市民ギャラリーの所蔵作品は制作から時間が経ったこともあり、修復を要するものが散見されます。そのため、修復の専門家による修復や、安全性を確認しながら職員もクリーニングを実施しています。今年度のインターン活動では、職員による額のクリーニング作業を見学しました。作品の保管と維持の大変さを、改めて実感する機会となりました。

 

クリーニング作業の見学

 

 

■事業アーカイブ構築補助

1964年に開館した当館には、長い歴史のなかで開催されてきた多数の展覧会を中心とする資料が保管されています。展覧会や講座の基本情報を検索して利用できる「事業アーカイブ」では、600件以上にのぼるすべての自主事業情報を公開しており、その構築にはこれまでのインターン生も関わってきました。今年度は、昨年度に引き続き、60年以上にわたり現代美術を紹介してきた「今日の作家展」のアルバムに収められた写真群の情報をテキストデータ化する業務に取り組みました。

 

事業アーカイブ構築補助

 

インターン生は、写真のイメージを言葉に置きかえる作業に難しさを感じながらも、写された時代に思いを馳せ、根気強く作業を進めていました。その様子は日々の活動日誌にも綴られており、担当学芸員とのやりとりから、活動を通して得た気づきや興味関心の広がりが伝わってきました。

 

■横浜市民ギャラリーの自主事業の見学

「新・今日の作家展2025 穿ちの表象」(2025913106では、展示作業の見学を行いました。アーティスト、学芸員、作品展示専門のスタッフが協働しながら展覧会をつくり上げていく現場に立ち会い、インターン生にとって大きな刺激となったようです。普段は見ることのできない展示準備の過程を体験し、学びの多い時間となりました。

 

また、「横浜市民ギャラリーコレクション展2026 戦後をあゆむ」( 〜 学芸員によるギャラリートーク」にインターン生も参加しました。作品解説を通して、テーマ設定や会場構成など展覧会がどのように作られていくのかを学び、学芸員の仕事への理解が深まった、との感想が寄せられました。

 

学芸員によるギャラリートークの様子

 

 

■最終レポート・振り返り

3月にはインターン活動の総括として最終レポートに取り組み、1年間の活動を振り返りました。担当学芸員とインターン生がマンツーマンで行ってきた活動もこの日が一区切りとなり、それぞれにとっての1年間の学びを整理し、深める機会となりました。

 

 

最後に、学芸系インターン生の振り返りコメントをご紹介します。

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前期・後期を通して、実際に行われているコレクション管理業務やアーカイブ構築業務を体験するとともに、展覧会の設営や定期点検の現場も見学させていただきました。データの管理方法や資料の保護方法は日々刷新されており、そうした変化に合わせて柔軟かつ丁寧に対応されている学芸員の方々の仕事を間近で見ることができたのは、大変貴重な経験となりました。日々の地道な業務や細やかな配慮の積み重ねの上に展覧会が成り立っていることを実感し、学芸員というお仕事への興味や関心が一層高まりました。(K.K

 

学芸業務活動では1980年代に開催された展覧会「今⽇の作家展」のアーカイブ作業に携わらせていただきました。現在巨匠として知られる作家の若き時代の作品を⾒ることができたと同時に当時特有の展⽰、雰囲気を感じることができ、とても貴重な経験になりました。(Y.Y

 

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2025年5月から20263月までの期間、忙しい学業の傍ら熱心に活動してくれた2名のインターン生。

11か月間、本当にお疲れ様でした!

 

 

文・箱山朋実(横浜市民ギャラリー エデュケーター)