2026年2月1日(日)、画家の皆川琴美さんを講師に迎え、大人のためのアトリエ講座「はじめての油絵」を開催しました。油絵具の準備から制作、片付けまでを一日で体験する本講座。17名の方が参加し、リンゴをモチーフに小さな油絵作品を制作しました。当日の様子をご紹介します。

講座の様子
講座は、皆川さんによるレクチャーからスタート。油絵の歴史や、キャンバス等の画材について、実物や画集を見ながら教えていただきました。溶き油(リンシードオイル、テレピン)の役割や、油絵具の特性、実際に絵具を買うときの選び方なども丁寧に説明され、油絵に対する少しの不安が和らいでいくのが感じられました。

レクチャーの様子
「油絵具は粘度が高いので、コシのある豚毛の筆が向いています」と皆川さん。豚毛の筆と、テンやタヌキなどの柔らかい毛を使った筆を実際に触り比べると、手触りやコシの違いがはっきり分かります。参加者の皆さんも、筆を手に取りながら納得した様子でした。

触ってみると、違いがよくわかりますね!
今回のモチーフはリンゴです。皆川さんは「作家なら誰でも一度は描くほど、魅力的なモチーフ」と話しながら、安井曾太郎のリンゴの絵を例に、筆さばきや絵具ののせ方について解説してくださいました。

美味しそうな立派なリンゴ!

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背景の色によってリンゴの印象が変わることも、色画用紙を使って実演。「まわりの色を少し変えるだけで、リンゴの見え方が変わるんですよ」と、絵づくりの面白さを伝えてくれました。

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説明のあとは、皆川さんが実際に描きながら、描き進める手順を解説してくださいました。
リンゴを手に取り、重さや匂いを確かめる皆川さん。配置を決め、鉛筆で下描きをしたあと、テレピンで溶いた絵具をキャンバスにのせていきました。「影を入れると、リンゴがそこに“存在する”感じになります」「ヘタの位置で、作者の見る視点が表現できますよ」と観察のポイントを言葉にしながら、迷いなく軽やかに描き進めていく様子に、参加者の皆さんも見入っていました。

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いよいよ制作の時間です!参加者の皆さんはリンゴを手に取り、どこから描こうか考えながら、はじめは慎重に、次第に夢中になって筆を動かしていきます。皆川さんは一人ひとりのもとを回り、「いい色ですね」「この感じ、素敵です」と声をかけながら、描き進め方のコツをアドバイスしていました。

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どのように描き進めたらよいか迷う人には、「”こう描いてはダメ”なんて無いので、思うように描いてOKですよ」と皆川さんがあたたかく励ましていました。アトリエの中には自然と笑い声が広がり、参加者同士で「この色きれいですね」「ここが難しいな」と話しながら描く姿がとても印象的でした。

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終盤になると、どこを直せばよいか迷う方に「少し離れて見てみましょう」と声をかけながら、作品を客観的に見ることの大切さも伝えていました。

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最後は、完成した作品をテーブルに並べて、鑑賞と講評の時間です。同じリンゴを描いているはずなのに、背景の色やリンゴの描き方によって、どれもまったく違う印象に仕上がっていました。「絵はその人の分身のようなもの。皆さんが真剣に描いてくれたのが伝わって、私も楽しかったです」と皆川さん。さらに、「はじめての一枚だからこその良さがあります。この絵はぜひ、大切にとっておいてくださいね」と声をかけていました。

鑑賞と講評の時間

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参加者からは、「とても楽しく油絵を学ぶことができた」「ずっとやってみたかったのでうれしかった」といった感想が寄せられました。この講座が、油絵を楽しむきっかけになれば幸いです。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
文・箱山朋実(横浜市民ギャラリー エデュケーター)
