画家の清野晃代さんを講師に迎え、短い時間で人体を素早く描く「クロッキー」の基本を学ぶ講座を、6月19日・26日の2回にわたり開催しました。講座の様子をレポートします。

講師の清野晃代さん
①1回目(6月19日)
講座は清野さんによるお話からスタートしました。クロッキーは、対象を短い時間で描く“速写”です。短時間で描くことで、人体のとらえ方や全体の流れをつかむ力を養っていきます。

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次に、鉛筆や木炭、コンテなどの特徴や使い方を教わりました。鉛筆を長めに削り、側面を使って広い面を塗る方法など、ちょっとしたコツで表現が大きく変わります。さらに、描くときの姿勢も大事なポイント。背筋を伸ばして、画面の中心と身体の中心を合わせることで、視点のブレを防ぐことができます。

描くときの姿勢が大事!

鉛筆を長く削りだす方法も教えていただきました
準備が整ったら、いよいよクロッキーの時間です。5分、10分、20分と時間を変え、さまざまなポーズを描いていきます。短時間で描くため、迷わず線を重ねていくことがコツだとアドバイスがありました。

ポーズごとに清野さんが一人ひとりに声をかけ、アドバイスして回ります

「集中しすぎると、全体が見えなくなってしまうことも。ときどき絵から少し離れて見るのも大切ですよ」と清野さん
途中には清野さんによるデモンストレーションもありました。どこを見て、どう描き出すのかを言葉で解説しながら描く姿に、参加者の皆さんも興味津々。「鉛筆の持ち方は?」「人体の中心はどのあたりに描く?」など、熱心に質問する姿も見られました。

清野さんのデモンストレーション作品
1日目の最後には、同じポーズをヌードと着衣で描き比べる時間も設けました。服の下にある体の構造を意識することで、衣服のシワや動きの理解にもつながります。
②2回目(6月26日)
2回目の講座では、前回学んだ内容を思い出しながらクロッキーに取り組みました。

前回の内容をおさらい
回数を重ねるごとに、手の動きが軽やかに、大胆になっていく参加者の皆さん。清野さんは「成長を感じるためにも、初めに描いた絵と最後の絵を見比べてみてくださいね」と声をかけていました。

見比べてみると、確かな変化が画面にあらわれていました
講座の最後には、清野さんによる講評会を行いました。一人ひとりの作品を見て、「線に勢いが出てきましたね」「大きく描けるようになり、全体のバランスが整ってきました」など、良かった点や今後のアドバイスを丁寧に伝えてくださいました。

自分の講評だけではなく、他の参加者の講評にも真剣に耳を傾ける姿が印象的でした
講座の締めくくりには、清野さんから「たくさん描けば描くほど、大事なことがつかめてくるのがクロッキーです。身の周りの人をモデルに、ぜひクロッキーを続けてくださいね」という励ましの言葉がありました。

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参加者の方からは、「先生が、私の絵の良いところを必ず見つけて励ましてくれ、とても楽しかった」「これからも継続してクロッキーを続けていきたい」という感想をいただきました。クロッキーが初めてだった方も、改めて基礎を見直した方も、きっと何かをつかんでいただけたのではないでしょうか。本講座がクロッキーを楽しむきっかけになれば幸いです。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
文・箱山朋実(横浜市民ギャラリー エデュケーター)