「コレクション展2025 コレクションの地層」関連イベント:ワークショップ 「絵画の地層、ことばの地層」開催レポート

2025.4.1

「横浜市民ギャラリーコレクション展2025 コレクションの地層」(2025221日~3月9日)の関連イベントとして、講師に詩人の大崎清夏さんをお招きし、ワークショップ 「絵画の地層、ことばの地層」を2025224日に開催しました。当日の様子をレポートします。

 

連詩制作の様子

 

ワークショップ当日、横浜市民ギャラリーのアトリエに集まった10名の参加者のみなさん。初めて会う人ばかりで、少し緊張していたでしょうか。

 

大崎さんと参加者のみなさん

 

 

そんな参加者たちに、大崎さんが今日の説明とともに配ったのが「ちそうカード」です。このカードを使って、「ち・そ・う」のそれぞれの文字から始まる(または途中に入る)言葉を考え、「3文字からはじまるあなたのまちのお気に入りの時間」の詩をつくります。言葉を考える参加者のみなさんは、悩みながらも、なんだか楽しそう…

 

ちそうカード

 

できあがった詩は一人ひとり全く違うものでした。短い詩に作者それぞれの思い描いた情景が描かれていて、言葉の表現の豊かさにみなさん感心していました。

 

「3文字からはじまるあなたのまちのお気に入りの時間」

 

次に、みなさんがつくった詩の中のフレーズを、他の人のものと入れ替えてみました。予想もしなかった新たな詩の出現に、笑ったり驚いたり。いつのまにか、参加者みんなでわいわいと楽しくおしゃべりできるようになっていました。

 

リラックスできたところで、次は連詩づくりです。連詩は複数人でつくる詩で、はじめの人が書いた言葉に、次の人がリレーするように言葉を繋げていきます。今回はコレクション展出品作品を鑑賞し、作品から感じたことをもとに連詩をつくります。大崎さんが選んだ候補作品は次の3作品です。

※クリックすると、作品情報がご覧いただけます。

岡田 青慶《礁 B

中島 清之《聖壇》

林 勇《栄区点描(戸塚町)》

 

全員で展示室に移動して、3作品を順番に鑑賞しました。「まずは作品解説を聞く前に、じっくりと作品を見て、感じたことをメモしましょう」と大崎さん。アトリエで見ていた作品画像とくらべると、実際の作品は想像よりも大きかったり、色彩に深みがあったり、絵肌の様子がよくわかったり、日本画の顔料が光ってキラキラしていたり…小さな画像ではわからなかった細部の様子に気付いた方も多く、実物を鑑賞するからこその発見がありました。

その後、エデュケーターから作品についての解説がありました。

 

岡田 青慶《礁 B》 タツノオトシゴが何匹隠れているかも、みんなで探しました

中島 清之《聖壇》 「この両脇に立つ人はだれだろう?」作品を前にすると、自然と疑問点がでてきます

林 勇《栄区点描(戸塚町)》は写真作品。よく見ると、女性たちがソフトボールをしているみたい…

 

作品を鑑賞した後でアトリエに戻り、多数決をした結果…今回は岡田 青慶《礁 B》と林 勇《栄区点描(戸塚町)》で連詩をつくることに決定!

2グループに分かれて、いよいよ連詩づくりがスタートです。大崎さんが書いた1行目から始め、それに続く言葉を11~2行ずつ書き足していき、全員が2回書いたところで完成です。

 

《礁 B》チーム

 

「書いている人以外は、おしゃべりしていてくださいね。その言葉を聞いて、思いつくこともあるから」と大崎さん。みんなで作品について話しながら、言葉を考えている人を見守ります。どんな言葉を書いていいか悩む人には、「この絵が思い出させたものなら何でもOKです。前の人が書いた言葉の流れのままに繋げてもいいし、全然違うシーンにいってもいいし…」と大崎さんがやさしく声をかけていました。

 

《礁 B》チーム

 

《礁 B》チームのみなさんは、先ほど鑑賞した作品の印象を思い出しながら、海に潜った時の思い出を話したり、YouTubeで海の映像を見たりして、海のイメージを膨らませていました。作品に描かれた魚やタツノオトシゴについて話すうちに、いつの間にか「生命」にまつわる言葉が連詩に現れるようになりました。

 

《栄区点描(戸塚町)》チーム

 

こちらの《栄区点描(戸塚町)》チームでは、作品前景に写った「ソフトボールする女性たち」に着目。

 「ゆるゆると雑談しているような立ち姿の人もいるし、シャキッと立っている人もいる…」

 「この女性たちはどこから来たんだろう?背景の家からは生活感を感じるけど、この人たちからは感じないような…」

 「ソフトボールがバットに当たる音って…パコーン!かな」

感じたことをお互いに語り合ううちに、「ボールを投げること」と「言葉を伝えること」のイメージが重なったのでしょうか。ソフトボールの球を、文章の「句点」に見立てる人がでてきました。

 

《栄区点描(戸塚町)》チーム

 

どんな言葉を書くか頭をひねりながら、それぞれ出てきた言葉を反復し噛みしめ…わいわいと話しながら書き進めていくと、いつの間にか最後の行に。最後の人が連詩を締めくくる言葉を書き終えると、両チームともに自然と拍手が沸き起こりました。

 

推敲をして、タイトルを考えました

 

最後は、できあがった連詩をグループの代表者が朗読し、全員で味わいました。

「作品のキラキラした印象や、水の中をたゆたう感じが《礁 B》の連詩から感じられる」

「《栄区点描(戸塚町)》の連詩の読点(。)が、なんだかボールが弧を描いて飛んでるみたい」など、様々に感想を出し合いました。

 

できあがった連詩を朗読しました

面白い感想がたくさん!

できあがった連詩はプリントし、お持ち帰りいただきました

 

参加者の方から「一人ではできない、本当に楽しい時間でした」という感想をいただきました。他の参加者と一緒に言葉を介しながら、一つの作品をじっくりと鑑賞することで、より深く豊かに作品を味わうことができたのではないでしょうか。そして協力して連詩をつくることを通し、言葉の魅力を再発見していただけたように思います。

最後に、出来上がった連詩をご紹介します。

 

「さんごの森」 きっかけの作品:岡田 青慶《礁 B》

「渡す練習(ソフトボール)」 きっかけの作品:林 勇《栄区点描(戸塚町)》

 

 

ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました!