「コレクション展2025 コレクションの地層」鑑賞サポーター活動レポート

2025.3.18

横浜市民ギャラリーでは毎年、コレクション展にあわせて中学生以上を対象とする鑑賞サポーター(ボランティア)を募集し、当館の所蔵作品と来場されるお客様を繋ぐ役割を担っていただいています。今年のコレクション展「コレクションの地層」(2025年2月21日~3月9日)では、10名の鑑賞サポーターが活動しました。研修からイベント実施まで、その様子をレポートします。

 

 

今年も定員を上回るご応募をいただき、抽選で当選した10名が活動をおこないました。年代やお仕事なども様々なメンバーのみなさん。鑑賞サポーター活動は、コレクションに深く関わりながら、美術を通して人と人が交わる場にもなっています。

 

今回は二つの活動を行いました。

 

(1)「鑑賞サポーターによる作品紹介シート」に掲載する作品紹介文の執筆

コレクション展の来場者に無料で配布する作品紹介シート。サポーター各人が好きな作品を1点選んで作家や作品について調べ、約250字の紹介文を執筆しました。

 

(2)コレクション展関連イベント「おしゃべりの日@コレクション展」(3月2日、8日)の実施

「おしゃべりの日」は、いわゆる「作品解説」や「対話型鑑賞」とは少し違ったスタイルのイベントです。イベント時間中、展示室にいる鑑賞サポーターと来場者が、作品を見ながら思ったことを自由に話すことを楽しみます。アットホームな雰囲気のなか、美術鑑賞をともに楽しみました。

 

 

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[研修]

二つの活動をおこなうため、鑑賞サポーターのみなさんは1~2月に4回の研修に参加しました。

 

 

初回では作品紹介文を書く作品を選びましたが、54点の出品作品の中から自分の紹介したい1点を選ぶのは大変!用意された作家ごとの山盛りの資料も眺めながら、インスピレーションで選びました。

執筆については、お互いの文章を読みあい意見交換したほか、学芸員とのやりとりを通じて、250字の中にそれぞれの思いをギュッと詰め込みました。どうすれば読み手に伝わる文章になるか悩みながらも、どれもその人らしさが現れた文章に仕上がり、来場者のみなさんにも大変好評でした。

 

「おしゃべりの日」に向けた準備では、それぞれ2作家の調査を担当し、調べたことをメモにまとめてメンバーと共有しました。調べるほどに作品への愛着も増し、その気持ちがグループワークを通してメンバーにも伝染していきます。画集を眺めながら各作家について学び、その魅力をみんなでワイワイと話す充実した時間となりました。

 

また、実際に展示室で来場者とお話しすることをイメージをしながら、メンバー同士で会話の練習をしたり・・・

 

展覧会オープン後には、これまで画像でしか見られなかった作品を初めて実見したり。

「思ったより大きい~!」など、実際の作品を前にまずはメンバー同士で話をしながら鑑賞し、イベント当日に備えました。

 

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[おしゃべりの日@コレクション展]

3月2日(日)、8日(土)14:00~16:00 会場:展示室1、B1 

 

そして迎えたイベント当日は、2日間にわたり大勢の来場者のみなさんと楽しいひと時を過ごすことができました。「せっかくなら、誰かとお話ししながら見たいから」と、イベントにあわせてご来場くださった方もいらっしゃいました。

 

  

  

小学生や大学生など、若い世代の方ともたくさんお話ができました。

最初のお声がけは緊張しますが、みなさんの鑑賞時間にそっと寄り添うように、タイミングやご様子を見計らって会話を始めました。来場される方は様々なバックグラウンドをお持ちで、それぞれの視点でお話ししてくださり、また鑑賞サポーターも自分の見方を伝えたり、研修で得た知識を生かすことで会話が広がったようです。

 

展示室前に設けた「ステーション」では、来場者のみなさんに好きな作品1点を選んで自由にコメントを書いていただきました。また、作家に関する作品集などもたくさん用意。気になる作家の本を広げながら、ここでもおしゃべりに花が咲きました。

 

「おしゃべりの日@コレクション展」は、今回で3回目の開催となりました。この日は展示室ににぎやかに声が響き、構えず気楽に、ちょっとしたことでも誰かと美術についておしゃべりができる。そんな横浜市民ギャラリーらしい和やかな活動を目指しておこなってきました。来場者のみなさんにご満足いただき、また鑑賞サポーターにとっても実りの多いイベントになるよう、毎年サポーターのみなさんと協働しながら取り組んでいます。今年も10名の頼もしい鑑賞サポーターのみなさんの力により、展覧会がより一層魅力的な場となりました。また来年の活動もどうぞお楽しみに!