横浜市民ギャラリーでは毎年、コレクション展の開催に際し、中学生以上の方を対象に鑑賞サポーター(ボランティア)を募集し、当館の所蔵作品と来場されるお客様を繋ぐ役割を担っていただいています。
「横浜市民ギャラリーコレクション展2024 版をうつす」(2024年2月23日~3月10日)では、9名が鑑賞サポーターとして活動をおこないました。その様子をレポートします。
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【活動1】「鑑賞サポーターによる作品紹介シート」の執筆
最初の活動は、展覧会の来場者に配布する「鑑賞サポーターによる作品紹介シート」の作品紹介文の執筆です。
今回の活動では1月から研修を4回おこない、そのなかで鑑賞サポーターがそれぞれ自分の気になる作品を1点選び、作家や作品について調べながら、自分なりの見方を盛り込んだ紹介文を約250字の文章にまとめました。
伝えたいことがお客様にしっかり伝わるよう、何度も推敲して文章を仕上げました。作品紹介文には、鑑賞サポーターのみなさん一人ひとりの考え方や感性があらわれます。いろいろな目線で捉えられた作品紹介は、作品を身近に感じさせてくれたり、鑑賞にあらたな気付きを与えてくれました。実際に会場で作品とあわせて紹介文をご覧いただいたお客様からも「サポーターの作品紹介がよかった」「おもしろかった」と好評でした。
【活動2】関連イベント「おしゃべりの日@コレクション展」
二つ目の活動として、展覧会の会期中に関連イベント「おしゃべりの日@コレクション展」を実施しました。
「おしゃべりの日」は、美術館などでよくおこなわれている「ギャラリートーク」や「作品解説」とはスタイルが少し異なるイベントです。鑑賞サポーターが解説的に話すばかりでなく、お客様と一緒に作品を見ながら、自由な会話を気楽に楽しむことを目的としています。ほんのささいな会話でも、美術をめぐって楽しい時間が過ごせれば…という考えです。以前のサポーター活動ではギャラリートークをおこなっていましたが、「お客様ともっと相互にお話しできるような時間が持てないか」というサポーターのみなさんのご意見をもとに、昨年より新しいスタイルで試行を始めました。
とはいえ、美術を通じて「自由な会話を楽しむ」ためには、やはり作家や作品についてあらかじめ学んだり、鑑賞サポーター自身が作品をよく見て楽しむことで、会話を広げるための様々な視点を持つことが大切です。今回は、サポーター各人が調べたことを研修時にチーム全体で共有し、協力して幅広く学びあいながらイベントに向けて準備しました。
研修のなかで、「知る」ことの楽しみを感じながら準備を進めてきた鑑賞サポーターのみなさん。イベント当日(3/2、3/9)は、一般の方はもちろん、子どもや学生さんなどたくさんの方が来場され、お客様と作品を見て思ったこと、感じたことを互いに共有したり、サポーターが発見した作品の魅力をお伝えすることでそこから会話がはずんだりと、展示室に和やかな空気が生まれていました。
イベントを通じて、展覧会を「見る」だけではなく、作品について他者と語ったり、言葉にしたりすることで、美術を鑑賞する体験がもう一歩深まり、より楽しく豊かな時間になったのではないでしょうか。ご参加いただいたお客様、そして素敵な活動をともに創ってくださった鑑賞サポーターのみなさん、ありがとうございました!