横浜市民ギャラリーコレクション展2024 版をうつす YCAG Collection Exhibition 2024: Artwork through Print Plate

概要

横浜市民ギャラリーには、1964年の開館以来、企画展や国際展の開催を機にコレクションされた約1,300点の所蔵作品があります。今年のコレクション展は「版をうつす」と題し、現代版画作品の魅力をお届けします。
本展でご覧いただくのは、主に1970年代~90年代初頭の版画作品です。紙やキャンバスなどに直接働きかける絵画と異なり、「版」を介してイメージをつくる版画では、版の制作や摺りなどいくつもの工程があり、作家は技法や道具、素材などを試行錯誤しながら自らの表現を探求します。本展では、木版画と銅版画それぞれの魅力や味わい、写真を用いた版表現の広がりをご紹介するほか、小特集として版画家・一原有徳の作品を展示します。作家ごとのアプローチから生まれる多様な版表現をどうぞお楽しみください。

◆小特集 一原有徳
一原有徳(1910–2010)は40代後半より版画の制作を始め、モノタイプ(一点しか制作できない版画技法)や、金属版を腐蝕させるなどして版をつくる抽象的な表現に取り組みました。本展ではその独自の手法による作品6点をご紹介します。

[章構成]
1. 木版の手ざわり/ 2. 銅版のおくゆき/ 3. 写真×版画 版表現のひろがり/ 小特集 一原有徳
 *会場内では本展にあわせて収録した、収蔵作家・磯見輝夫、野田哲也のインタビューを上映します。

[出品作家]
秋岡美帆 飯島俊一 磯見輝夫 一原有徳 大庭明子 小作青史 加藤清美 河内成幸 北川健次 清塚紀子 隈部滋子 黒田茂樹 五島三子男 柴田昌一 杉山一夫 園山晴巳 田嶋宏行 中林忠良 中島けいきょう 西田知子 野田哲也 萩原英雄 長谷川潔 馬場檮男 深沢幸雄 藤田修 山口啓介 山下清澄 吉田克朗 吉田穂高 利渉重雄

吉田穂高《杭-高井戸》1989年 亜鉛凸版、板目木版 68.0×43.5cm

馬場檮男《大道芸の人々(考える人)》1992年 木版 62.3×86.6cm

磯見輝夫《沼 いとなみ》1991年 木版凸版 77.2×123.0cm

黒田茂樹《Sand glass》1990年 エッチング、アクアチント、ルーレット、ドライポイント、リフトグランド 38.5×61.0cm

深沢幸雄《月下の対話》1985年 メゾチント、アクアチント、エッチング 71.3×37.9cm

中林忠良《転位'89−地−Ⅱ》1989年 エッチング、アクアチント 44.5×65.0cm

秋岡美帆《さやぎ Swing》1988年 NECO、麻紙 78.0×107.3cm

野田哲也《Diary:April 15th '88, in Cincinnati, U.S.A》1988年 木版、シルクスクリーン 60.1×92.4cm

一原有徳《EB(a)》1981-92年 鉄、天然腐蝕 37.7×61.9cm

日程

開場時間

(入場は17:30まで)

休館日
会期中無休
入場料
入場無料
会場

横浜市民ギャラリー 展示室1、B1

〒220-0031 横浜市西区宮崎町26番地1

主催
横浜市民ギャラリー(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団/西田装美株式会社 共同事業体)

関連イベント

おしゃべりの日@コレクション展

展示室で鑑賞サポーター(ボランティア)と作品を見ながらおしゃべりしませんか?おすすめ作品の紹介も交えながら、美術をめぐる自由な会話を楽しむイベントです。

 

日時:2024年3月2日(土)、3月9日(土)各日13:30~15:30

会場:展示室1、B1

参加無料、申込不要

 

● 鑑賞サポーターについて

●「おしゃべりの日」とは?―昨年度のイベント報告(ブログ)

昨年度の様子

ハマキッズ・アートクラブ 「横浜市民ギャラリーまるごと探検ツアー」

コレクション展で作品を見たり、作品収蔵庫など普段は入れないバックヤードを学芸員と一緒にめぐります。

 

日時:2024年3月3日(日)10:30~11:30

講師:河上祐子(当館学芸員/エデュケーター)

対象:小学4~6年生

定員:8名(抽選)

参加費:500円

申込締切:2月14日(水)必着

申込方法:「ハマキッズ・アートクラブ」ページ内の申込フォーム、または来館にてお申込みください。

昨年度の様子

版画体験オープンワークショップ

紙やすりを使ってつくる紙版画。誰でも気軽に体験できます。

どうぞお気軽にお立ち寄りください!(制作時間目安:15~20分程度)

 

日時:2024年3月3日(日)13:3016:00(最終受付15:45

   ※材料がなくなり次第終了

会場:展示室1入口前 

参加無料、申込不要

 

※このワークショップで使用する技法は、山口雅英氏(愛知産業大学通信教育部 准教授)の考案によるものです。

制作イメージ

開催レポート

年に一度、テーマを設けて当館の収蔵作品を紹介するコレクション展。今回は「版をうつす」と題し、当館初となる版画特集の展覧会を開催しました。1階から始まる「1.木版の手ざわり」「2.銅版のおくゆき」では、木版と銅版それぞれの技法による作風の違いや、同じ技法のなかでも各作家がつくる表現の多様さに注目しました。地下1階の小特集では、40代から制作に取り組み、力強い抽象世界を探求した版画家・一原有徳の作品6点を展示。最後は、写真を取り入れた版表現の様々な展開を紹介する「3.写真×版画 版表現のひろがり」をご覧いただき、展覧会全体を通して現代版画の個性あふれる豊かな魅力をお届けしました。あわせて会場では、展覧会をより一層お楽しみいただけるよう、出品作家の磯見輝夫、野田哲也の両氏へのインタビュー映像なども上映しました。来場者の皆様より、「様々な技法による版画の表現に驚いた」「いろいろな作品を見られて興味が広がった」など、たくさんのご感想をお寄せいただきました。
また本展では、ボランティアの鑑賞サポーターが、1月から4回の研修を経て会期中に活躍。それぞれのおすすめ作品の紹介文を執筆したほか、来場者と作品を見ながら会話を楽しむイベント「おしゃべりの日@コレクション展」をおこない、当館所蔵作品と来場者をつなぐ大切な役割を担いました。そのほか会期中には、子どもから大人まで誰でもその場で参加できる紙版画のワークショップや、小学生と展覧会や館内を探検するツアーなど、幅広い年代の方にお楽しみいただけるイベントも開催し、和やかな雰囲気のなか閉幕しました。

[展覧会データ]
横浜市民ギャラリーコレクション展2024 版をうつす
2024年2月23日(金・祝)~3月10日(日) 会期中無休
10:00~18:00
横浜市民ギャラリー 展示室1、B1
出品点数:50点
展覧会入場者数:3,251名+関連事業参加者数82名=合計3,333名

[ブログ]
「コレクション展2024 版をうつす」関連イベントレポート
[コレクション展2024 版をうつす]鑑賞サポーター活動レポート

関連資料