新・今日の作家展2024 あなたの中のわたし New "Artists Today" Exhibition 2024: I Found Myself in You

概要

「新・今日の作家展」は、横浜市民ギャラリーが開館した1964年から40年にわたり開催した「今日の作家展」を継承した展覧会です。幅広い世代の作家による同時代の表現を多角的に取り上げ、現代美術やその背景にあるものを考察しています。“今日展”60周年となる今年は、副題を「あなたの中のわたし」とし、二名の若手アーティスト、スクリプカリウ落合安奈(1992年生まれ)と布施琳太郎(1994年生まれ)を紹介します。
〈わたし〉―自分が何者なのかという問いは、多くの方が一度は抱いたことがあるでしょう。一方で私たちは他者と不可分の存在であり、〈あなた〉―他者の存在に触れることが、翻って自らに対する新たな気づきを導くことがあります。スクリプカリウ落合安奈は日本とルーマニア、二つの国にルーツを持ち「土地と人との結びつき」をテーマに、インスタレーション、写真、映像など様々なメディアで制作をしています。2022年12月より約一年間ルーマニアに滞在した経験をもとに、2023年より写真を中心とする作品《ひ か り の う つ わ》を複数の形式で発表しています。布施琳太郎はスマートフォン発売以降の都市における「孤独」や「二人であること」の回復に向けて、自ら手がけた詩やテクストを起点に、映像作品やウェブサイト、キュレーションやイベントの企画など、多様な方面で活動を行っています。本展で提示する、〈わたし〉と〈あなた〉の関係性から展開する彼らの作品を通じ、それぞれ唯一無二である自己と他者、またその私たちが成す社会について思いめぐらす機会となれば幸いです。
二名はいずれも、本展のテーマを受け新作を交えた展示構成を予定しています。

[出品作家]
布施琳太郎、スクリプカリウ落合安奈

※以下の掲載画像には参考作品を含みます。

スクリプカリウ落合安奈《ひ か り の う つ わ》2023年

スクリプカリウ落合安奈《ひ か り の う つ わ》2023年

スクリプカリウ落合安奈《ひ か り の う つ わ》2023年

スクリプカリウ落合安奈 collaborate with 落合由利子《わたしの旅のはじまりは、あなたの旅のはじまり》  2021年 ミクストメディアインスタレーション Photo by Keizo Kioku

布施琳太郎《隔離式濃厚接触室》2020年 ウェブページ 撮影=竹久直樹

布施琳太郎《骰子美術館計画》2024年 ビデオインスタレーション 撮影=竹久直樹

布施琳太郎《僕のいない教室に射した言葉の水面をすべる船》2021年 撮影=長谷川銀

布施琳太郎《原料状態の孤独を、この(その)親指の腐敗へと特殊化する》2019年 撮影=布施琳太郎

日程

開場時間

(入場は17:30まで)

休館日
会期中無休
入場料
入場無料
会場

横浜市民ギャラリー 展示室1、B1

〒220-0031 横浜市西区宮崎町26番地1

主催
横浜市民ギャラリー(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団/西田装美株式会社 共同事業体)
協力
SNOW Contemporary

関連イベント

出品作家ミニトーク

スクリプカリウ落合安奈×布施琳太郎

日時:2024年914日(土)15:00~15:40(14:40開場)

会場:4階アトリエ

定員:先着40名

※参加無料、申込不要

対談「横浜の開発:展示作品について」

布施琳太郎×木村絵理子(弘前れんが倉庫美術館館長)

日時:2024年10月5日(土)14:00~15:30(13:40開場)

会場:4階アトリエ

定員:先着50名

※参加無料、申込不要

対談「越境するひかり―移動する身体、文化の継承」

スクリプカリウ落合安奈×毛利嘉孝(社会学者、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教授)

日時:2024年10月6日(日)14:00~15:30(13:40開場)

会場:4階アトリエ

定員:先着50名

※参加無料、申込不要

学芸員によるギャラリートーク

日時:2024年9月21日(土)14:00~14:30

会場:展示室1,B1

※参加無料、申込不要

作家プロフィール

©Kotetsu Nakazato

スクリプカリウ落合安奈 SCRIPCARIU-OCHIAI Ana
1992年埼玉県生まれ。2016年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業(首席・学部総代)。2019年東京藝術大学大学院美術研究科修士課程グローバルアートプラクティス専攻修了。現在東京藝術大学大学院博士後期課程在籍。2022~2024年公益財団法人ポーラ美術振興財団令和4年度在外研修(ルーマニア)。主な展覧会に、埼玉県立近代美術館コレクション展「MOMASノ海」(埼玉県立近代美術館、2023年)、「Art Collaboration Kyoto Special Programs "Ladder Project"」(国立京都国際会館、2023年)、「TERRADA ART AWARD 2021 ファイナリスト展」(鷲田めるろ賞受賞、寺田倉庫/東京、2021年)、個展「Blessing beyond the borders−越境する祝福−」(埼玉県立近代美術館、2020年)「Y.A.C. RESULTS 2020」(ルーマニア国立現代美術館、2020年)など。
(2024年6月26日 更新)

写真=岡崎果歩

布施琳太郎 FUSE Rintaro
1994年生まれ。東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業、2019年東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。スマートフォン発売以降の都市における「孤独」や「二人であること」の回復に向けて、自ら手がけた詩やテクストを起点に映像作品やウェブサイト、展覧会のキュレーション、書籍の出版、イベント企画などを行っている。主な活動に個展「新しい死体」(PARCO MUSEUM TOKYO、2022年)、廃印刷工場でのキュレーション展「惑星ザムザ」(小高製本工業跡地/東京、2022年)、ひとりずつしかアクセスできないウェブページを会場としたオンライン展覧会「隔離式濃厚接触室」(2020年)など。主な参加展覧会に「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」(国立西洋美術館/東京、2024年)、「時を超えるイヴ・クラインの想像力」(金沢21世紀美術館、2022年)など。著書に『ラブレターの書き方』(晶文社、2023年)、詩集『涙のカタログ』(PARCO出版、2023年)。
(2024年6月26日 更新)
落合由利子 OCHIAI Yuriko
※「新・今日の作家展2024 あなたの中のわたし」スクリプカリウ落合安奈出展作品コラボレーター。1963年生。写真家。日本大学芸術学部写真学科卒。写真展に「日本国ルーマニア人物語」(1997年)、「働くこと育てること」(2000〜2017年)他。写真集に「WINDOW’S WHISPER」(私家版、日本大学芸術学部長賞受賞、1984年)、「話したい戦争は知らないけれど」(私家版、2021年)。著書に『働くこと育てること』(草土文化、2001年)、『絹ばあちゃんと90年の旅〜幻の旧満州に生きて』(講談社、2005年)。共著に『ときをためる暮らし』(文藝春秋/自然食通信社、2012年)、『若者から若者への手紙1945←2015』(ころから、2015年)他。
(2024年9月4日 更新)

撮影:成田写真事務所

木村絵理子 KIMURA Eriko
キュレーター、弘前れんが倉庫美術館館長、多摩美術大学・金沢美術工芸大学客員教授、美術評論家連盟会員。2000年より横浜美術館に勤務、2012年より2023年まで主任学芸員。2005-23年まで横浜トリエンナーレのキュレトリアル・チームに携わり、2020年の第7回展では企画統括。主な展覧会企画に「蜷川実花with EiM:儚くも煌めく境界 Where Humanity Meets Nature」(2024年、弘前れんが倉庫美術館)、オンライン展覧会「距離をめぐる11の物語:日本の現代美術」展(2021年、主催:国際交流基金)、「昭和の肖像:写真でたどる『昭和』の人と歴史」展(2017-2019年、横浜美術館の後、アーツ前橋とナショナル・ギャラリー・オブ・カナダへ巡回)、「BODY/PLAY/POLITICS」展(2016年、横浜美術館)、 「奈良美智:君や僕にちょっと似ている」展(2012-13年、横浜美術館、青森県立美術館、熊本市現代美術館) など。
(2024年7月22日 更新)
毛利嘉孝 MŌRI Yoshitaka
1963年生。社会学者。専門は文化研究/メディア研究。東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科・音楽学部音楽環境創造科教授、未来創造継承センター長。京都大学経済学部卒、ロンドン大学ゴールドスミスカレッジMA (Media & Communications)、同Ph.D. (Sociology)。九州大学大学院比較社会文化研究科助教授等を経て現職。特に現代美術や音楽、メディアなど現代文化と都市空間の編成や社会運動をテーマに批評活動を行う。 主著に『バンクシー』(光文社新書)『ストリートの思想 増補新版』(ちくま文庫)、『文化=政治』(月曜社)、編著に『アフターミュージッキング』(東京藝術大学出版会)、共著に『芸術と労働』(水声社)『コミュニケーション資本主義と〈コモン〉の探求』(東京大学出版会)等。Inter-Asia Cultural Studies (Routledge), World Art (Routledge), International Journal of Japanese Sociology (Wiley)などの国際雑誌に論考を寄稿している。
(2024年7月22日 更新)

関連資料