収蔵作品 今月の1点

教会の見える風景 ©Yokohama Civic Art Gallery

教会の見える風景 三橋 兄弟治 みつはし いとじ

■ 制作年:1939年
■ 技法・材料:水彩、紙
■ サイズ [縦×横×奥行]:75.4 × 58.4cm
■ 作品番号:WD-121
■ 分野:水彩・素描

※「横浜画廊散歩」2022年5月号に掲載

三橋は1911年生まれ、茅ヶ崎町(現・茅ヶ崎市)出身の水彩画家。16歳の時に鑑賞した「明治大正名作展」(東京都美術館)の感動が忘れられず、18歳より槐樹社同人の金沢茂治に師事。1930年、神奈川師範学校を卒業し小学校教師となりますが、翌年上京し美術研究所で学びました。1937年からは再び教職に就き、10年間横浜の成美学園(現・横浜英和学院)に勤めました。その後は茅ヶ崎に戻り、水彩連盟等で活躍、ヨーロッパに幾度も赴き同地の風景をよく描き、水をあまり用いずに描く新たな技法も生み出しました。1996年逝去。

本作は1923年の関東大震災で焼失し、1933年に再建されたカトリック山手教会がやや遠方から描かれています。この作品で教会の姿は、木立や家並みの奥に小さく描かれていますが、教会の存在を際立たせるため、構図や空の表現が工夫されています。三橋が横浜で教えた10年間は太平洋戦争も経験する等、目まぐるしく不安な時代でした。しかし本作からはそのような世情を感じられず、純粋に景色の美しさに向き合い、画面に写しとろうとした意欲的なまなざしが伝わってきます。

横浜市民ギャラリーでの展覧会:
1990年「三橋兄弟治の世界展」

 

※本作品は令和4年度「クラウドファンディングによる収蔵作品修復プロジェクト」対象作品です。 詳細はこちらをご覧ください。