収蔵作品 今月の1点
デブターナ・カ・アリパン マハー・スンダリー・デーヴィー
■ 技法・材料:彩色、コンクリート板
■ サイズ [縦×横×奥行]:148.0 × 168.0cm
■ 作品番号:O-184
■ 分野:油彩他
※「横浜画廊散歩」2026年10・11月号に掲載
中央には、花や太陽を思わせる様々なパターンが同心円状に広がっています。その周りには植物が描かれ、全体が花のような文様で縁どられています。限られた色彩でありながら、画面を埋め尽くすように広がる文様が、豊かな生命力を象徴するようです。細かな線でくり返される形には微妙な揺らぎがあり、素朴で温かな印象を感じさせます。
本作は、日本とインドの文化交流事業「’88インド祭」の一環として、横浜市民ギャラリーで開催された「ミティラー民俗画展」の際に、インドから来日した作家によって制作され、その様子が公開されました。ミティラー画は、インドのビハール州北部のミティラー地方で女性たちに伝承されてきた民衆壁画です。タイトルは「神々のためのアリパン」を意味します。アリパンとは、儀礼の際に土間に描かれるマンダラふうの絵のことで、中央に神が降りてくると考えられています。通常、アリパンは米をすりつぶした粉などで描かれ、儀礼が終わると中央部は消されます。本作は、土間の代わりにコンクリートを支持体として床に設置し、竹の筆を用いて植物からとった顔料で描かれました。
作者のマハー・スンダリー・デーヴィーは、1922年にインドのビハール州に生まれ、12歳の頃から叔母に絵を学びました。伝統的な様式で描かれる作品の主題は、神話から自然、日常の出来事まで多岐にわたり、各国に収蔵されて高く評価されています。芸術家としての活動に加え、ミティラー手工芸芸術家産業協同組合を設立して手工芸品の発展と芸術家の育成を支援した功績が認められ、2011年にインド政府からパドマ・シュリー勲章を授与されました。長年の闘病の末、2013年に惜しまれつつも亡くなりました。
新潟県十日町市には、旧小学校を活用してミティラー画の収集公開や日印の文化交流を促進する私立の「ミティラー美術館」が1982年に開設されています。
- 横浜市民ギャラリーでの展覧会:
- 1988年「ミティラー民俗画展」
