横浜市こどもの美術展 未来へつなぐHistory&Memory

横浜市民ギャラリーの夏休み恒例事業「横浜市こどもの美術展」は、1965年の開始以来、半世紀以上続く展覧会です。 子どもたちの応募作品を無審査ですべて展示、またあわせて時代ごとに多彩な関連イベントを催し、美術を通して子どもたちの成長を応援してきました。 2020年度は新型コロナウイルス感染拡大防止のため開催中止となりましたが、みなさんのこの展覧会の思い出やメッセージを募集しました。 これからの未来に向け、「横浜市こどもの美術展」の歩みをお寄せいただいたメッセージとともにご紹介します!

History–「横浜市こどもの美術展」の歴史

■始まりは1965年。半世紀以上続く子どものための展覧会

1964年に桜木町の旧中区役所に開館した横浜市民ギャラリー。当時の飛鳥田一雄市長は「子どもを大切にする市政」を打ち出し、初代館長で現代詩人の山田今次も子どもの教育を大切に考えていました。 開館翌年の1965年に「横浜市こどもの美術展」が始まり、以降夏休みの恒例事業として2019年までに52回開催、のべ18万点以上の子どもたちの作品が展示されてきました。 その間、横浜市民ギャラリーは2度移転しており、まさに当館の歴史とともに歩んできた展覧会と言えます。 対象年齢は時代により変遷がありますが、現在は横浜市内在住・在学の小学生以下(0~12歳)の子どもたちの作品を募集し、年齢ごとに展示しています。展示室の壁いっぱいに作品が飾られ、家族連れで賑わう様子は、昔も今も変わることのない風景です。

左|初代横浜市民ギャラリー 1966年
中|第2回展 1966年
右|2019年 photo: Ken KATO

■応募作品をすべて展示。賞を設けず、一人ひとりの作品を大切に

「横浜市こどもの美術展」の応募作品は毎年数千点に上ります。それらを「無審査ですべて展示する」という方針が開始当初より継承されており、この展覧会の大きな特徴となっています。 1965年当時、コンテスト形式の児童画展が多いなかで、このスタイルはとても画期的なものでした。「横浜市こどもの美術展」では、賞を設けず、一生懸命に描いた子どもたちの作品はすべて大切に展示されます。 自分の作品が飾られた様子を見て、喜びを感じてもらうこと。横浜市民ギャラリーは、このような作品発表の場を通して、子どもたちの自由な発想と豊かな表現を育みながら、そのすこやかな成長を応援し続けています。

左|2007年
中|1993~2012年には共同制作部門もありました 2011年
右|出品した子どもたちに贈られる参加賞も歴代で変遷

■広がる様々な取り組み

展覧会の会期中には、子どもたちの公募作品の展示のほか、時代ごとに様々な取り組みをおこなってきました。 たくさんの「アートな楽しみ」が待っている展覧会を目指し、活動を展開しています。

〈主な取り組み〉

1975~1982年 「夏のこども創造のアトリエ」
画家・千田高詩(1914-1988)の企画による、身近な素材を使った創作教室。公立美術施設での造形ワークショップの先駆的な取り組み。

左|1980年
右|1979年

1985~1998年 「こどもフェスティバル」
二代目横浜市民ギャラリーが所在した横浜市教育文化センターのフェスティバル事業。映画会、ワークショップ、講演会など多彩なイベントを開催。

左|「お絵かきパソコン」 1985年
右|ワークショップ「君もピカソになれる」 1994年

1999~2001年 「ハマ・キッズ劇場」
プロの指導のもと、子どもたちが舞台美術や音楽、衣装制作から出演まで参加し、舞台を上演。

「ハマ・キッズ劇場2000」宇宙人ケチチ 2000年

2000年~ 「自由参加ワークショップ」
子どもも大人も、来場者がその場で自由に参加できる造形ワークショップ。

左|「紙工作で虫をつくろう!」2017年 photo:Ken KATO
右|「ダンボールアート」2010年

2015年~ 「アーティストによる特別展示」
子どもたちにとって表現の先輩である、アーティストによる作品展示。

左|康夏奈展「もぐらの世界 私の世界」2016年 photo: Ken KATO
右|いわいとしお『100かいだてのいえ』展 2019年 photo: Ken KATO

Memories–みんなの思い出・メッセージ

たくさんの方々のご参加やサポートがあって続いてきた「横浜市こどもの美術展」。みなさんの心にはどのように刻まれているのでしょうか? お寄せいただいたメッセージをご紹介します。 (メッセージは2020年5月30日~7月5日に募集しました。)

■参加者 Participant

自分が子どもだった頃のエピソード、お子さんの作品出品や来場の思い出などをお寄せいただきました。

すけさん(30代)
子どもが生まれてから毎年出品してきました。毎年出品すると、子どもの成長を感じます。展覧会では特別展示のゲストアーティストの方が普通に見学に来ていてびっくりしました。 子どもたちはワークショップが楽しみで、開催期間中、何度も足を運びました。じぃじとばぁばが遊びにくる良いきっかけでもありました。今後もこの展覧会は続いて欲しいと願っています。

まーちゃん(5歳)
病気で出来ないことも多いですが、絵を描くのが好きで3歳から出展させてもらっています。 自分の絵を見に行って、音楽を聴いたり、ワークショップに参加したり、とても楽しい思い出ばかりです。 出展でもらったシールやバッジは宝物です。来年また出そうねと話しています。

左|「ミロコマチコライブペインティング」2018年
右|2007年

S.K さん(40代)
私が小学生の頃、お絵かきの先生が毎夏「横浜市こどもの美術展」に皆の絵を出展してくれて、毎年父と一緒に見に行きました。 自分の絵が飾ってあるのを見ると、とても嬉し恥ずかしい気持ちになったのを今でもよく覚えています。 中学生の時に仲良くなった友人(今でも大親友)が、この美術展で私と同じ体験をし、良い思い出であったということにも、驚きと嬉しさを感じたものです。私にとってこの美術展はとても大切な思い出です。 娘(今年6歳)にもこの経験をさせたいと思い、今まで2回出展させて頂きました。自分の絵が飾られているのを見つけ、大喜びでした!また来年たくさんの子どもたちの絵が見られるのを楽しみにしています。

さち さん(40代)
初めて出展したのは子どもが幼稚園に入園前。ぐるぐる丸を描くのが楽しくて「ぶどう」ばかり描いて、用意した紙がなくなってしまいました。 似たような絵ばかりなのに、全部飾りたいのだと言って困りました。次の年は、描くときに「去年もやったね!」と言われてビックリ。 上手でもないし、名前を出して展示されるのは恥ずかしいかな…と思っていたことをちょっと反省。出してよかったと思いました。

左|1976年
右|2009年

■ボランティア Volunteer

会場で子どもたちを温かく迎えるボランティアのみなさんは、この展覧会に欠かせない存在です。 近年は中学生から大人まで共に活動し、自由参加ワークショップの運営などを担っています。

A.S さん(60代)
ボランティアで参加しました。大人ですが、さまざまなことを初めて知りました。発泡スチロールは熱で切ること。 洋服や靴を包む紙は薄葉紙(うすようし)と言うこと。上質の皮の滑らかさ。ペンキは厚塗りしたらなかなか乾かないこと。 粘土を足で踏むのに勇気がいること。作品展示は年齢別で、0才があってびっくりしたこと。お面作ったね。虫も作ったね。部屋をデザインして繋げたね。 ある年、全員違う言葉で褒めようと密かに志して、果たせて嬉しかった。でもそれは子どもたちの多様性と可能性を見せつけられたってことです。ありがとう!

ぎゃらりん さん(50代)
横浜市民ギャラリーが関内駅前にあるときに、ボランティアに応募しました。初めてでとまどっていましたが、フレンドリーなスタッフと経験豊かな先輩ボランティアに支えられて、楽しく参加させていただきました。 子どもの絵のパワーに元気をもらい、美術に興味を持つようになりました。ボランティア仲間もでき、新しい世界が広がりました。今後も末永く、子どもたちが夏休みの思い出をつくるお手伝いができればと思います。

Kaoru さん(60代)
横浜市民ギャラリーとの出会いは、2003年のボランティアが始まりです。関わる中で、アートがコミュニケーションの一端を担うことを感じました。表現するとは言葉からだけではなく、道具を扱い、素材に触れることで五感を刺激し、形が出来上がり、その過程で充実感と共感が生まれていくのです。「こども展」は、そのような日常から子どもたちが出品する目標を持ち、観てもらえることを意識して制作し、多くの作品の中で自分の作品と対峙する機会で、それは子どもだけではなく、関わる大人にも多くの学びとなります。個々の作品に示された色彩、線、形にその時生じた感情と発想が反映すると考えると、子どもたちのかけがえのない記録にもなるでしょう。
「こども展」は会場の移転、展示の変化、参加賞の変遷、その時々のワークショップなど、企画者の思いや工夫が盛り込まれたバトンによって今日まで繋げられています。 2020年度はコロナ禍で中止となりましたが、次は新しい日常から誕生した社会生活を背景にパワーとアイデアが溢れ出ることでしょう。 そして子どもたちの世界観と関わる大人たちの想像力が楽しみな展覧会になると期待します。

左|自由参加ワークショップ「ダンボールアート」2010年
右|自由参加ワークショップ「どうぶつお面をつくろう!」2018年 photo:Ken Kato

■スタッフ Staff

応募作品を大切にお預かりするため、作品の受付・整理、展示作業や会場案内を担うたくさんのアルバイトスタッフが展覧会を支えています。

小林 さん(40代)
5年程前から、毎回ではありませんが、設営アルバイトとして携わりました。展示作業では子どもたちの作品を一つ一つ丁寧に繋いで、壁にかけていきます。 なかなか根気のいる作業ですが、まっさらな壁が子どもたちの絵で彩られていく過程に立ち会えるのは、楽しくも感じていました。今年は中止と知り残念です。また子どもたちの作品発表の場が再開することを楽しみに待っています。

左|作品受付会場 2015年
右|展示作業 2017年

「横浜市こどもの美術展」あなたの思い出・メッセージ、引き続き募集中!

みなさんの「横浜市こどもの美術展」の思い出エピソードや、本展へのメッセージを引き続き募集しています。 時代を問わず、さまざまなメッセージをお寄せください!
たくさんのご応募をお待ちしています。

[応募締切]2021年6月8日(火)
[応募方法]ホームぺージの応募フォームから

★いただいたメッセージは「横浜市こどもの美術展2021」会場で公開します(公開可の方のみ)
★ご応募いただいた方にオリジナルバッジをプレゼント!(応募多数の場合は抽選)

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