横浜市民ギャラリーコレクション展2022 モノクローム ―版画と写真を中心に YCAG Collection Exhibition 2022: Monochrome Expression Focused on Prints and Photographs

概要

横浜市民ギャラリーの約1,300点の所蔵作品は、1964年の開館以来、企画展や国際展等を機に収蔵され、戦後から90年代初頭までの国内の美術史や横浜の美術シーンを反映しています。本年は、モノクローム―単色で表された、版画と写真作品を中心に展覧します。
版画は、技法の探求や材料の選択、描かれた図像等の要素が重なりあって多様な表現を生み出します。さらに単色で摺られることで、線や面が織り成す豊かなイメージが観る者の目をより惹き付けます。また写真は、光と影によって構成される平面のイメージへと被写体が変換されることで、対象の気づかぬ一面が表れ、自らの認識を新たにするような視覚体験を導くことがあります。本展は、4つの章-「線とかたち」「光と闇」「人のいる風景」「イマジネーション」と特集展示「浜口タカシー〈北海に生きる〉より」で構成し、モノクロームの抑制された色彩が生む表現の多様さや豊かさを紹介します。

※会場内では本展にあわせて収録した北川健次のインタビューを上映します。

[特集展示 浜口タカシー〈北海に生きる〉より]
報道写真家・浜口タカシ(1931-2018)が1981年、当館で開催した個展で発表したシリーズ〈北海に生きる〉から、極寒の北海道の風景やそこで漁をして生きる人々をモノクロームで写した作品を紹介します。

[出品作家]
相笠昌義、秋山亮二、一原有徳、海老原暎、小作青史、河崎英男、北井一夫、北川健次、斎藤義重、島内英佑、高垣秀光、高松次郎、田辺和郎、土田ヒロミ、富山治夫、中林忠良、長谷川潔、浜口タカシ、藤倉忠明、藤澤江里子、藤田修、三門常世、宮井里夏、宮脇愛子、山口啓介、利渉重雄

一原有徳《SON 88》1988年 アルミニウム版モノタイプ 90.5×81.5cm

斎藤義重《ボウパンA・白》1971年 合成樹脂、アルミ板 72.7×60.6cm

長谷川潔《飼い馴らされた小鳥(草花と種子)》 1962年 マニエール・ノワール 39.0×28.2cm

宮井里夏《untitled 91−10》1991年 エッチング、アクアチント 89.0×142.5cm

秋山亮二《「楢川村」より》1989年 ゼラチン・シルバー・プリント 43.7×43.7cm

北川健次《フランツ・カフカ高等学校初学年時代》1987年 エッチング、アクアチント、フォトグラビュール 38.8×28.1cm

利渉重雄《道標》1989年 エッチング、アクアチント 62.8×38.5cm

浜口タカシ《馬ソリ》1976年 ゼラチン・シルバー・プリント 33.2×48.9cm

浜口タカシ《増毛港に打ち寄せる高波》1976年 ゼラチン・シルバー・プリント、パネル 90.0×149.9cm

日程

開場時間

(入場は17:30まで)

休館日
会期中無休
入場料
入場無料
会場

横浜市民ギャラリー 展示室1、B1

〒220-0031 横浜市西区宮崎町26番地1

主催
横浜市民ギャラリー(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団/西田装美株式会社 共同事業体)

関連イベント

ワークショップ「 凸凹(でこぼこ)で刷る版画・コラグラフ」

紙の上に身近な素材を自由にコラージュして版をつくり、足踏みで刷る版画を制作します。子どもから大人まで、版画による表現の魅力をお楽しみいただける講座です。制作とあわせてコレクション展の作品ものぞいてみます。

 

日時:2022年2月26日(土) 13:30~16:00

講師:関 淳一(版画家)

会場:4階アトリエ
対象:小学生以上(小学生は保護者同伴)

定員:15名(抽選)
参加費:1,500円 

申込締切:2022年2月13日(日)必着 ※締切りました

申込方法:申込フォームまたは来館にてお申込みください。

※小学生の保護者の方は、申込時に制作の有無(制作する場合はお一人1,500円。もしくはお子様の補助のみ)を選択してください。

鑑賞サポーターによるトーク

ボランティアメンバーが出品作品の魅力についてお話しします。

 

日時:2022年3月6日(日)、 12日(土) 14:00~(40分程度)

会場:展示室1、B1 

参加無料、申込不要

※新型コロナウイルス感染拡大状況等により、変更が生じる場合があります。ご来場前にこちらのページまたは電話でご確認ください。

 

鑑賞サポーターについてはこちら

ハマキッズ・アートクラブ「横浜市民ギャラリーまるごと探検ツアー」

コレクション展会場や、作品収蔵庫などバックヤードをめぐります。

 

日時:2022年3月12日(土) 10:30~11:30

講師:河上祐子(当館学芸員/エデュケーター)
対象:小学3~6年生

定員:8名(抽選)
参加費:500円 

申込締切:2月25日(金)必着 ※締切りました
申込方法:申込フォームまたは来館にてお申込みください。

開催レポート

本年のコレクション展は、モノクロームをテーマに所蔵作品から54点を選び展示しました。「1.線とかたち」では単純/複雑な線や抽象的/具象的なかたち、そしてそれらの組合わせによる多様な表現を、「2.光と闇」では白と黒のコントラストやグラデーションによって生まれる明暗の魅力に着目して紹介しました。「3.人のいる風景」では何気ない日常の様子や高度経済成長期の時代を切り取った作品、「4.イマジネーション」では観る者の想像を掻き立てるような世界を表した版画により構成しました。「特集展示 浜口タカシ―〈北海に生きる〉より」では横浜を拠点に活動した写真家・浜口タカシが1970年代から約10年にわたって厳寒の北海道を訪ねて取材した作品13点を展覧しました。また会場では、展覧会に合わせて収録した北川健次インタビューと、2017年12月に収録した浜口タカシインタビューを上映しました。
関連イベントとして、版画による表現を体験するワークショップ「凸凹(でこぼこ)で刷る版画・コラグラフ」、9名の鑑賞サポーターそれぞれが選んだ出品作品を紹介する「鑑賞サポーターによるトーク」、展覧会と館内を巡るハマキッズ・アートクラブ「横浜市民ギャラリーまるごと探検ツアー」を実施し、コレクションを様々な角度からたのしむ場をつくりました。会場で無料配布した、鑑賞の手引きとなる小冊子と「鑑賞サポーターによる作品紹介シート」は、作品により親しむツールとして好評を得ました。
展覧会は、モノクロームの抑制された色彩が生む表現の多様さや豊かさに見入る来場者が多く、盛況のうちに終了しました。

[展覧会データ]
横浜市民ギャラリーコレクション展2022  モノクローム―版画と写真を中心に 

2022 年2月25日(金)~3月13日(日) 会期中無休
横浜市民ギャラリー 展示室1、B1
出品点数:54点
展覧会入場者数:3,581名+関連イベント参加者数:54名=合計3,635 名

関連資料