収蔵作品 今月の1点

三溪園の五月(1) ©Yokohama Civic Art Gallery

三溪園の五月(1) 櫻庭 彦治 さくらば ひこじ

■ 制作年:1979年
■ 技法・材料:油彩、ボード
■ サイズ [縦×横×奥行]:23.2 × 30.1cm
■ 作品番号:WD-052
■ 分野:水彩・素描

※「横浜画廊散歩」2025年6・7月号に掲載

櫻庭は1902年北海道生まれ。東京美術学校在学中の1926年に帝展に初入選するなど、早くから頭角を現しました。1927年に同校を卒業した後は長野県の中学校で教壇に立ちましたが、1年で東京に戻り、1934年からは横浜・本牧にアトリエを構えました。自然を雄大に描く画家として定評があった櫻庭は、横浜や出身地の北海道をはじめ日本各地へ赴き、四季折々の風景を描きました。
本作は1979年に横浜市民ギャラリーで開催された「横浜百景展」に出品された作品です。本牧にある国指定名勝の三溪園で、大池越しに旧燈明寺三重塔を臨む景色が描かれています。前景に見える紫色の花は、5月~6月が見頃のカキツバタやハナショウブでしょう。穏やかに晴れた空とそれを映す水面の青、そして小高い山の麓から頂上にかけて深くなる緑からは、瑞々しく爽やかな空気感が伝わってきます。

横浜市民ギャラリーでの展覧会:
1979年 「横浜百景展」
1982年 「横浜上海美術交流展」
1985年 「櫻庭彦治自選展」