収蔵作品 今月の1点

宙'88横浜の風 A ©Yokohama Civic Art Gallery

宙'88横浜の風 A 斎藤 寿一 さいとう じゅいち

■ 制作年:1988年
■ 技法・材料:木版
■ サイズ [縦×横×奥行]:60.5 × 45.6cm
■ 作品番号:PR-110
■ 分野:版画
■ 備考:PR-109と同イメージ。エディション2/30。

※「横浜画廊散歩」2020年11月号に掲載

1931年、川崎市生まれ。1950年に県立川崎高等学校を卒業後幾度か東京藝術大学を受験するも叶わず、独学で油絵を描きます。1958年、パリに留学。同地で浜口陽三の紹介で版画家のS.W.ヘイタ―の銅版画工房を訪ねたことを機に銅版画に取り組み始め、最初はヘイタ―にならうものの、その後自身の多色刷り技法を確立させます。1959年第1回パリ国際青年画家ビエンナーレに出品。同年帰国し個展やグループ展を多く開き、1967年には「今日の作家 ’67年展」(横浜市民ギャラリー)にも参加しています。1976年には和光大学教授に就任しました。1992年歿。

本作タイトルには、斎藤が60年代後半から70年代にかけて取り組んだ、形なき形の表出を試みた〈風〉と、70年代以降にインドやネパール、中国に訪れ知見を得、テーマとした〈宙〉の両方が取り入れられています。卵にも似た楕円形、その中央の眼にも思える形、下部の波を連想させる形に飛行機や船などが小さく描きこまれ、黄色と黒、そして斎藤を有名とした色彩の青の3色で刷られています。抽象と具象を行き来した斎藤の表現のエッセンスが詰め込まれた作品といえます。

横浜市民ギャラリーでの展覧会:
1967年 今日の作家’67年展
1988年 横浜上海美術交流展
1990年 横浜オデッサ美術交流展
1992年 横浜コンスタンツァ美術交流展
1993年 横浜サンディエゴ美術交流展