収蔵作品 今月の1点

SON 88 ©Yokohama Civic Art Gallery

SON 88 一原 有徳 いちはら ありのり

■ 制作年:1988年
■ 技法・材料:アルミニウム版モノタイプ
■ サイズ [縦×横×奥行]:90.5 × 81.5cm
■ 作品番号:PR-021
■ 分野:版画
■ 備考:PR-22とは別イメージ。

※「横浜画廊散歩」2022年2月号に掲載

一原は1910年、徳島県生まれ。3歳の時に家族と共に北海道虻田郡真狩村に移住しました。1923年の尋常小学校卒業後に小樽に移り、1927年より43年間、逓信省小樽貯金局に勤務します。1951年、同僚で画家の須田三代治に油彩の指導を受け描き始めましたが、その6年後、パレットとして使っていた石版上の絵具の形態に目にとめ、紙に手刷りしてみたことから版画の道へと進みます。亜鉛板やステンレス、トタン等、様々な金属を用いながら版上のインクを搔きとって図像をつくるモノタイプや、溶剤を用いた腐蝕、板を叩いたり、バーナーで焼く等実験的な手法で、2010年に亡くなるまで多くの作品を制作しました。

本作はボルト等を思わせる無機質な形態が画面いっぱいに表われたアルミニウム板を用いたモノタイプです。一原は作品に対し「アンフォルメル(非定形)であること」を常に意識していました。一説に、登山家としても知られる一原が、冬山で眼にした雪に覆われた荒涼な山岳、自然の厳しい風景に、視覚的類似性があったのではとも言われています。

横浜市民ギャラリーでの展覧会:
1990年「今日の作家’90年展」
1992年「横浜コンスタンツァ美術交流展」
1993年「横浜サンディエゴ美術交流展」