新・今日の作家展2020 再生の空間
「新・今日の作家展 2020」では、「再生の空間」をテーマに国内外で活動する二人の作家により構成し、計18点を展示しました。
地主麻衣子さんは、影響を受けてきた小説家ロベルト・ボラーニョの、別れた恋人への想いを綴った詩をモチーフとした作品をはじめ、身近な、あるいは時間的、空間的に隔てられた対象とのコミュニケーションのかたちを考察する4つの映像作品を展示し、コロナ禍における人や文化の交流の可能性を問うような空間をつくりました。山口啓介さんは、10人の作家が共同で制作した「地球・爆」より自身の作品を中心に、伊坂義夫氏、市川義一氏、岡本信治郎氏らによる共作、「地球・爆」の制作過程を伝える書簡やエスキースといった資料、東日本大震災以降、書き続けている《震災後ノート》、「方舟」シリーズの直近のドローイングを展示し、出来事や問題に進行形で向き合う視点を提示しました。
関連イベントは、各出品作家とゲストによる対談をおこない、出品作家の現在にいたる活動や作品、今回の展覧会について、理解を深める機会になりました。対談は動画収録し、イベントに参加できなかった方に向けて期間限定でオンライン公開しました。またオンラインコンテンツとして、出品作家によるギャラリートークを撮影し、会場風景とともに地主さんと山口さんがそれぞれ制作について語る動画を公開しました。
今回の展覧会では、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、入館時の検温や入場制限、館内の消毒など必要な対策を講じ、来場者が安心して作品を観たり、関連イベントに参加したりすることができる環境づくりを徹底したことにより、各々のペースで丁寧に鑑賞される方が多くみられました。また同時期に開催されていたヨコハマトリエンナーレ2020や黄金町バザール2020を訪れた方たちの来場もあり、展覧会は盛況のうちに終了しました。
[展覧会データ]
- 新・今日の作家展2020 再生の空間
- 2020年9月22日(火・祝)~10月11日(日)20日間 10:00~18:00
- 横浜市民ギャラリー 展示室1・B1
- 出品点数:18点
- 展覧会入場者数:2,946名+関連事業参加者60名=合計3,006名
記録集について
「新・今日の作家展2020 再生の空間」の展示風景と、関連イベント(対談)の文字起こしおよび記録写真を収めた記録集を作成します(B5サイズ、28ページ、2021年2月中旬完成予定)。
ご希望の方は、送料分の切手(1冊:210円、2冊:250円)と「お名前/郵送先ご住所/お電話番号/ご希望冊数(上限2冊)」を同封の上、下記までご郵送ください。
※受付けは、先着30名で締め切ります。→受付けを締め切りました。
郵送先:220-0031 横浜市西区宮崎町26-1 横浜市民ギャラリー
「新・今日の作家展2020」記録集担当
※ 新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、入館時の検温、入場制限など必要な対策を講じてまいります。
ご来場前に必ずこちらをご確認ください。
新・今日の作家展2020 再生の空間
New “Artists Today” Exhibition 2020 Space of Rebirth
地主麻衣子 JINUSHI Maiko
山口啓介 YAMAGUCHI Keisuke
- 2020年9月22日[火・祝]-10月11日[日] 10:00~18:00(入場は17:30まで)
- 横浜市民ギャラリー 展示室1、B1 入場無料 会期中無休
- 主催:横浜市民ギャラリー(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団/西田装美株式会社 共同事業体)
-
22 September (Tue) – 11 October (Sun), 2020
10:00-18:00(Last admission 17:30)
Yokohama Civic Art Gallery 1F, B1F
Admission free Open everyday during the exhibition
「新・今日の作家展」は、横浜市民ギャラリーが開館した1964年から40年にわたっておこなった「今日の作家展」の理念を受け継ぎ、2016年より始動した展覧会です。
これまで、同時代の表現を多角的に取り上げ、幅広い世代の作家の作品を通して現代美術を考察してきました。
本年は〈再生の空間〉をテーマに、身近な場所あるいは世界で起こっている事象に向き合い、未来を志向していく行動と日常への関心を喚起するような制作をしている作家を紹介します。
個人的な物語をテーマとしたドローイングや小説の制作から発展し、映像、インスタレーション、パフォーマンスなどを総合的に組み合わせた「新しい種類の文学」を創作する地主麻衣子。
歴史上の事柄を多面的にとらえ、版画、絵画、立体といったさまざまな表現方法により、自然と人間が共存するイメージの世界を描き続けてきた山口啓介。
移ろい過ぎ去っていく現在を見つめつつ、不変的な視点を持ち合わせた作家の実践は、時間的持続の際限なく、その作品を観る者に記憶の再生や物事の再考を促します。
さらに、新型コロナウイルスの影響により新しい生活が展開される今日の状況において、私たちの生やとりまく環境、社会を繰り返し認識していくような視点を提示します。
横浜では同時期に、現代美術の国際展であるヨコハマトリエンナーレ2020「AFTERGLOW―光の破片をつかまえる」が開催されています。
本展は、ヨコハマトリエンナーレにも呼応し、今日性を映した表現を紹介することで、多層的な世界にアクセスしながら思考の回路をつないでいくことを目指します。
【「地球・爆」について】
「地球・爆」は、10人の画家(岡本信治郎を中心に、伊坂義夫、市川義一、大坪美穂、小堀令子、清水洋子、白井美穂、松本旻、山口啓介、王舒野)による絵画プロジェクトです。このプロジェクトは、20世紀以降に起こった戦争や災害が、地球とそこに暮らす人類にもたらすものをテーマに、
F150号(227.3×181.8cm)を基本サイズとした約150枚の絵画パネルで構成されています。本展では、「地球・爆」から山口啓介に加え、岡本信治郎、伊坂義夫、市川義一による共作を展示する予定です。
[関連イベント] ※事前申込制、参加無料
対談「電気まぶたの世代」
地主麻衣子×中尾拓哉(美術評論家)
9月26日[土]14:00〜15:30
会場|4階アトリエ
定員|20名(応募多数の場合は抽選)
申込締切|9月5日(土)
時間:約110分
公開期間:2020年10月2日(金)〜11月15日(日)
※公開終了しました
対談「二つの、3月11日/震災後とコロナ後の世界」
山口啓介×徐京植[ソ・キョンシク](作家、東京経済大学教授)
10月3日[土]14:00〜15:30
会場|4階アトリエ
定員|20名(応募多数の場合は抽選)
申込締切|9月12日(土)
時間:約95分
公開期間:2020年10月6日(火)~11月20日(金)
※公開終了しました
[出品作家プロフィール]
1984年神奈川県生まれ。2010年多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻修了。近年の個展に「欲望の音」(2018年、HAGIWARA PROJECTS/東京)、「53丁目のシルバーファクトリー」(2018年、Art Center Ongoing/東京)、「新しい愛の体験」(2016年、HAGIWARA PROJECTS/東京)など。近年のグループ展に「表現の生態系 世界との関係をつくりかえる」(2019年、アーツ前橋/群馬)、「第11回 恵比寿映像祭」(2019年、東京都写真美術館)、「黄金町バザール2017」(2017年、黄金町エリア/神奈川)、「Unusualness Makes Sense」 (2016年、チェンマイ大学アートセンター/タイ)など。2019-2020年、ヤン・ファン・エイク・アカデミー(オランダ)のレジデンスに参加。 http://maikojinushi.com/
1962年兵庫県生まれ。1985年武蔵野美術大学別科実技専修科油絵専修修了。1990年頃、方舟を描いた大型の銅版画作品でデビュー。1992年ニューヨーク、ペンシルヴェニア(アメリカ)、1995年デュッセルドルフ(ドイツ)に滞在。以降、国内外の個展、グループ展多数。1990年に横浜市民ギャラリーで開催した「第26回今日の作家展 トリアス」に参加。近年の個展に「後ろむきに前に歩く」(2019年、広島市現代美術館)、「山口啓介 カナリア」(2015-2016年、豊田市美術館/愛知)、「山口啓介 原ーききとり 歩く方舟、海を渡る星図、震災後ノート」(2015年、いわき市立美術館/福島)など。近年のグループ展に「瀬戸内国際芸術祭2013」(2013年、男木島/香川)、「水と土の芸術祭2009」(2009年、新潟市美術館・新津美術館/新潟)など。