横浜市民ギャラリー収蔵作品展2002  お気に入りの一点。発見!

概要

横浜市民ギャラリーでは、1964年の開設以来、横浜ゆかり作家の企画展や、未来の美術界を担う新人作家展などを行い、関連の作品を集めてきましたが、常設展示室を持たないため公開の機会が少ないことから、年1度の収蔵作品による企画展で皆様にご覧いただいています。今秋は横浜市民ギャラリーでの展示の後、一部作品を入れ替えて泉区民文化センター「テアトルフォンテ」、港南区民文化センター「ひまわりの郷」に巡回します。
今回の「収蔵作品展」では、(1) 横浜の現代画壇の形成に貢献した作家たち、(2) 横浜ゆかりの女流画家たち、(3)市民ギャラリーの企画展で取り上げられた作家たち、(4)横浜の現代日本画家たち、(5)市民ギャラリー収蔵の写真作品、のおおむね五つの柱で構成しました。今回久々に登場する写真作品の数々は、海外姉妹都市との交流展を機に収集されたものなどからなっており、高度成長期の日本の都市や変わりゆく庶民生活を写したドキュメンタリー要素の強いものが多いのが特徴です。
本展では、サブタイトルを「お気に入りの一点。発見!」としています。会場でゆっくりとお過ごしいただき、お気に入りの1点を見つけていただけることを願っています。展示作品について知りたい情報があれば、会場のボランティアスタッフに声をおかけ下さい。ボランティアスタッフは、研修によって一部の作品の知識を身につけていますので、 日々収蔵作品の状態を点検したり作家の調査を行ったりしている学芸員と皆様との橋渡し役となってくれるでしょう。
また、本展では、無料のガイドブックを作成し、いくつかの作品の解説を試みました。作品と向かい合い何かを感じとる行為は、観る一人一人にゆだねられるものですが、ガイドブックやボランティアスタッフが、皆様の心に作品が残るきっかけとなれば幸いです。

[出品作家]
秋山庄太郎、安保健二、五十嵐英壽、市川保道、入江泰吉、入江正巳、牛田雞村、江成常夫、江見絹子、遠藤典太、岡本彌壽子、奥村泰宏、川村信雄、北久美子、北井一夫、国領經郎、白川義員、須田一政、芹沢龍吉、高間惣七、竹中恵美子、土田ヒロミ、寺田春弌、常盤とよ子、富山治夫、中島清之、浜口タカシ、浜田三郎、林忠彦、兵藤和男、益井三重子、緑川廣太郎、宮本昌雄、森秀男、油野誠一、吉仲太造
日程

開場時間

休館日
9月29日
入場料
入場無料
会場

横浜市民ギャラリー (1974年7月~2013年3月) 1、2階展示室

横浜市中区万代町1-1 教育文化センター内

主催
横浜市民ギャラリー

開催レポート

入場者数:4,566名
出品点数:62点
ボランティア参加者数:15名

[ボランティア活動について]
2002年9月17日から11月5日にかけて、横浜市民ギャラリー、泉区民文化センター、港南区民文化センターを巡回して開催された、 「横浜市民ギャラリー収蔵作品展-お気に入りの一点。発見!」では、15名の展覧会ボランティアが、会場のサポートを行ってくれました。
市内各地から応募してくれたボランティアの皆さんは、絵を描くことや写真を撮ることが好きで、市民ギャラリーが収蔵する横浜ゆかりの作家のことをもっと知りたいと思って参加してくれたかた、仕事を引退して様々なボランティア活動をなさっているかた、パートの休暇を活かして参加してくれたかた、そして美術に関わる仕事をめざす大学生など、それぞれ貴重な時間を提供してくれました。 事前の3回の研修では、今回出品された牛田雞村や、緑川廣太郎、吉仲太造、川村信雄などの作品について、スライドや資料で知識を身につけるとともに、長年地元で親しまれてきた横浜市民ギャラリーにふさわしい展覧会ボランティアとはどのようなものだろうか、とディスカッションを行いました。
収蔵品展は入場無料でもあることから、毎日の散歩や昼休みのついでに「本日のお気に入りの一点」を気軽に見に訪れ、作品についてのボランティアとの会話を楽しみにしてくれるかたもいます。そのようなお客様との温かなコミュニケーションをはかりながら、作品に集中できる心地よい緊張感のある会場の雰囲気を作るために、ボランティアと市民ギャラリー職員の一人一人が お客様の声に耳を傾け、密な連絡をとりあった50日間でした。「ボランティア連絡ノート」には、細かな留意事項と共に、お客様の感想やご指摘、お客様の流れや会場構成に関してボランティアが気づいたことが数十ページにわたって記され、展覧会の大切な記録となっています。
巡回先の2つの区民文化センターでは、いつも気軽に利用している場所に、見ごたえある作品群が展示されていることを偶然に知り、長時間鑑賞されるお客様が多くいました。作品をきっかけに世の中の様々な出来事に思いを巡らせ、ボランティアに沢山の感想を伝えて帰られるお客様もいました。
最後に、ボランティアの感想の声を少し聞いてみましょう。
「当初は、自分が一人黙考しながら作品を観る人間なので、ボランティアとしてお客様に声をかける事に二の足を踏んでいました。しかし日数を重ね、声をかけてくれるお客様と、作品について、美術について、横浜という土地について会話のやりとりの経験を重ねていったことで、人と話しながら作品を観る事も楽しいと気がつきました。」(Mさん)

横浜市民ギャラリー 学芸員 内山淳子(「アートヨコハマ」vol.18より)

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