収蔵作品 今月の1点

オルフェの鏡(3) ©Yokohama Civic Art Gallery

オルフェの鏡(3) 阪本 文男 さかもと ふみお

■ 制作年:1978年
■ 技法・材料:リトグラフ
■ サイズ [縦×横×奥行]:43.5 × 33.8cm
■ 作品番号:PR-119
■ 分野:版画

※「横浜画廊散歩」2023 年4・5月号に掲載

阪本は、1935年東京生まれ。1944年に新潟県柏崎市に疎開、1953年に柏崎高等学校を卒業するまで同地に居住し、在学中は同校で教師をしていた國領經郎に師事しました。1954年に進学した東京藝術大学では小磯良平教室で学び、卒業後は中学校や高校で教鞭を執りながら制作を続けました。1959年第9回モダンアート協会展で初入選、以降同会を中心に発表しました。1967年国際青年美術家展で優秀賞第一席を受賞、1968年からは安井賞展、現代日本美術展にも出品しました。1986年歿。

1970年頃より、阪本は「果実や花が乾いて、名の無いものに変って行くさまに心引かれるものを感じ」(※)、身の回りにある植物や果物等を描くようになりました。写実的に描かれた“乾いたものたち”は、やはり写実的に描かれた紙や無地の色面を背景に、トロンプルイユ(だまし絵)のように描かれます。タイトルの「オルフェの鏡」は1950年のジャン・コクトーの映画「オルフェ」からとられています。

(※)「阪本文男個展」(1981年、彩林画廊)リーフレットより

 

横浜市民ギャラリーでの展覧会:
1981年「幻想の絵画展」
1982年「横浜上海美術交流展」
1988年「阪本文男回顧展」