※「横浜画廊散歩」2024年2・3月号に掲載

磯見は1941年、鎌倉市生まれ。1966年東京藝術大学油画科卒業、数年後に同大学院に入り1973年に版画専攻を修了しました。一貫して木版を制作してきた磯見は、大きな作品とするため数枚の版を用い、単色で摺ります。版木は生活に身近であることより杉板を選び、下書きをあまりせず版を彫りながらイメージを作っていきます。本作には東北に訪れた際に食べたフナという具体的なモチーフが登場します。黒と白の色彩のなか、上下に配された女性、泡にも雪にも見える描写や植物や鳥の羽のようなものたちが交じり合うように配され、沼のなかで数多のものが渾然一体となるような神秘性を連想させます。

横浜市民ギャラリーでの展覧会：

1992年「横浜コンスタンツア美術交流展」

磯見輝夫インタビュー映像（2023年）