収蔵作品 今月の1点

車内風景 ©Yokohama Civic Art Gallery

車内風景 浜口 タカシ はまぐち たかし

■ 制作年:1972年
■ 技法・材料:ゼラチン・シルバープリント
■ サイズ [縦×横×奥行]:36.7 × 49.8cm
■ 作品番号:PH-256
■ 分野:写真

※「横浜画廊散歩」2018年10月号に掲載

浜口は1931年静岡県生まれ。1955年横浜に転居、1956年に日本報道写真連盟に加入し、以後報道写真を撮るようになります。1969年二科神奈川支部が設立されると支部長に就任。横浜美術協会でも長く活躍しました。1997年横浜文化賞をはじめ受賞多数。2018年逝去。

本作は1987年に横浜市民ギャラリーで開催された個展「ドキュメント日本 激動の日々35年 浜口タカシ写真展」(1987年5月26日~6月12日)に出品された作品です。当時すでに報道写真家として多くの作品を世に送り出していた浜口の写真を紹介する内容で、<原爆広島・長崎><成田空港12年の記録><東京オリンピック>など国内の社会問題や歴史に残る出来事に切り込んだテーマと並んで出品されたのが、横浜市電の作品群でした。横浜市電は1904年に開業し、本作が撮影された1972年に廃止されています。廃止の予定を知った浜口は市民の足として親しまれた市電を様々に写していますが、車内をとらえたものは収蔵作品では本作のみで、人々の服装や車内の掲示物から当時の風俗を知ることもできる貴重な作品です。画面手前左手の子どもを抱きかかえた女性の、カメラを見据える眼差しが印象的です。

横浜市民ギャラリーでの展覧会:
1981年 「北海に生きる」
1982年 「横浜上海美術交流展」
1987年 「ドキュメント日本・激動の日々35年」
1990年 「横浜オデッサ美術交流展」
1992年 「横浜コンスタンツァ美術交流展」
1993年 「横浜サンディエゴ美術交流展」

 

浜口タカシ インタビュー映像(2017年)