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※「横浜画廊散歩」2020年1月号に掲載
平野杏子は1930年伊勢原市出身、共立女子専門学校を卒業し、長屋勇、大久保作次郎、三岸節子らに師事しました。画歴の初期は具象的な表現でしたが、結婚・出産を経た1960年頃に心身に不調を来し闘病、同時期に仏教関連の書籍を読み、以前から興味を持っていた抽象画への欲求が高まったことから、以降抽象的な表現へと変わりました。
本作は1970年代に取組んだ仏教をテーマとした一連の作品に一区切りつけた後に描いた、架空の風景をあらわしたシリーズのひとつです。平野が幼い頃に出征した父から聞いた中国の風景の記憶が基になっているそうですが、白々とした空を背景に細密な筆致で描かれた木が屹立する様は、国や時代を超越した印象を与えます。
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