©Yokohama Civic Art Gallery

田辺謙輔 たなべ けんすけ
《山手教会》

1979年
鉛筆、水彩、紙

※「横浜画廊散歩」2017年10月号に掲載

田辺謙輔は、1909年北海道函館市生まれ。1928年函館師範学校卒業後、一度小学校教諭となりますが翌年横浜高等工業学校建築学科(現・横浜国立大学工学部)に入学、1932年より再び北海道で教鞭を執ります。この頃より函館出身の風景画家・田辺三重松に師事。1934年第12回春陽会展に初入選、以後ほぼ毎年出品。1938年に教職を辞して横浜に居を構え、洋画家・水谷清に師事。1942年横浜高等工業学校講師、文展初入選。戦争で北海道に疎開するも1949年より再び横浜に戻ります。以後横浜工業学校教諭、横浜国立大学工学部建築科講師をつとめながら制作しました。1958年からフランスに1年半滞在、アカデミー・グランショミエールにて学んでいます。1992年横浜文化賞受賞。2000年歿。

1970年代にメキシコに幾度も取材旅行をし、現地の女性を多く描いた田辺ですが、静物画や風景画もたくさん手掛けました。本作は自宅の近くのカトリック山手教会を描いた作品です。1862年居留地に建てられた横浜天主堂が1906年に現在地に移転、1923年の関東大震災倒壊を経て1933年に再建されたのが現在のカトリック山手教会です。チェコ人設計家・スワガーによるゴシック式鉄筋コンクリート造りの建築で、正面から見て右手に鐘楼を備えるのが特徴です。田辺はこの鐘楼の先端を画面の上辺に合わせその高さを強調しています。また淡く塗られた空の色が画面に奥行を与えています。

横浜市民ギャラリーでの展覧会:
1979年「横浜百景展」
1982年「横浜上海美術交流展」
1990年「横浜オデッサ美術交流展」

収蔵作品一覧へ戻る